すずこ

写真甲子園 0.5秒の夏のすずこのレビュー・感想・評価

写真甲子園 0.5秒の夏(2017年製作の映画)
1.5
とりかたへったくそ

2020-93

ーーーーーーーーー
オンライン試写会にて。
物事を全ておもしろいと捉えて生きることを信条としているので、多くは語りたくないですが、せっかくレビューする機会を頂いたので、簡単に一言。ざっとまとめたので、長文乱文失礼します。

思ったこともろもろまとめ。


チーム3名同じ方向へ終始無闇矢鱈にシャッターを切り続ける稚拙な写真の撮り方はメタファーのように映画へとあらわれている点。

コンセプトがあまりにもぶれぶれ。
映画のテイストがぶれぶれ。
主人公がぶれぶれ。
キャラ作りがぶれぶれ。
写真部高校生たちの情熱がぶれぶれ。


コメディに撮りたいかと思えば、急にドキュメンタリータッチになったり、没入させるワンカットの割に生々しさ一歩手前のシーン転換。そのくせ大ぶりな演技、頻繁なカット割、表情の足りなさ、説明の多さ。
「青春の輝き」や「うぶさ」「儚さ」をひとつ重きに置きたい割にはせっかく綺麗な女優さんの横顔や汗、肌、瞳などの可憐さは見せない。けれど、終盤につれ話の盛り上がりを欲しくなったからかわざとらしい涙ばかり写して、下らない茶番に成り下がってしまっている。原案はいいのに、ほんとにほんとにもったいない。

役の名前なんぞ覚えさせる気は一切なく、ただただ、「どこどこ高校の子たち」で止まる始末。バックボーンは微塵も感じず、可愛い子、背が高い子、そこら辺の子、が、カメラを持ち歩くだけの撮影シーン。
故に、「写真甲子園」という視聴者からは遠いテーマとの架け橋や共感性は一つも創り出せず、劇中の写真甲子園は学生たちのプレゼン勝負。
そうかと思えば、関西高校の掲げるスローガンは「めっちゃ楽しい北海道」から「あったかい人たち」へ変化するという圧倒的タイムパラドクス。はたして、この子たちのかけがえのないとは。翻弄し続け最後に見つけた答えは、友情やら青春、そして自分たちなりの「答え」の割に、午後のニュースのドキュメンタリー特集ばりに引っ張って引っ張って、最後まで祈り祈ってボロ負け、飽きるほど見た胡散臭い涙。まるでコメディのような拍子抜けすぎる結末。でも、この映画は、青春ドラマ。

そもそもの話、写真甲子園のコンテスト内における課題が「自然」や「風土」とかなり似通っているからこそ、いかに違いを見せていくか、はたまた「かけがえのないもの」という曖昧なテーマを、これまた「写真」という難しいコンテンツとどうすり合わせていくかの描写は全くない。
いや一瞬だけある。優勝高校生チームの作戦会議シーンである。タイトル通り、ほぼ0.5秒のそのシーンが唯一この映画へ一般人が没入できるところなのではないか。

いや、見方を変えれば、バスの中から牛を見つけはしゃぐシーン。花火ではしゃぐシーン。その他もろもろ。要するに、「写真甲子園出場高校生」たちが、「普通の高校生」らしくするシーンが多々ある。
バックボーンも、キャラ立ちもさせる必要はないのかもしれない。もしかしてら、それが、そうそこにある被写体こそが、リアルであるのだ。
つまり、この子たちは、「普通の高校生」なのだ。だから、もちろん、写真が心から好きじゃない。格好の被写体を目の当たりにしてもカメラを握るはずがない。審査員長がおっしゃる通り、生半可な気持ちで出場して、とんでもない茶番を繰り返して、思い切り「無駄な時間」を過ごした挙句、それを「青春」だと言い貪る。そんな「普通の高校生」なのだろう。
そんな「普通の高校生」と、それと同等レベルの感性を持ち合わせたベテラン監督が織りなすかけがえのない「青春ドラマ」がこの映画かと思われる。

以上。
すずこ

すずこ