さすらいの旅人

リンキング・ラブのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

リンキング・ラブ(2017年製作の映画)
3.4
ハチャメチャ感がなぜか心地良いタイムスリップアイドル映画。
【VOD/Amazon Prime/配信視聴】

アマプラから偶然見つけ、何となく観てみることにした。
一番の理由は監督が金子修介だからだ。監督の「平成ガメラシーズ」「デスノート」等は私の大好きな作品群だ。その監督がアイドル映画を撮るなんて不思議だからだ。撮るにしても相当な覚悟と開き直りが必要だろう。

内容は「バック・トゥ・ザ・フィーチャー(BTTF)」「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」の見事なまでのオマージュではなくパクリだ。
ただ、基本ベースはパクリだがそのバブル時代に、AKB48並みのアイドルグループを、同じ楽曲を使用して作ると言う、前代未聞のイベントが独自進行するのが面白い。このバブル時代にAKB48の「フォーチュンクッキー」等の楽曲が流れるのは不思議な世界だ。

主演の田野優花は撮影当時はAKB48に加入していたが、映画の中の設定としてはAKB48のオーディションに落ちた女子大生役というのが面白い。この映画はこの様な自虐的な要素を含んでいる。自虐的と言えばもう一つある。映画の中にバブル時代の金子監督作品「就職戦線異状なし」をさり気なく映像挿入しているのも自虐ネタだ。

本作は人によっては楽屋落ちの学芸会レベルのハチャメチャ映画と思うだろう。しかも、BTTFの様なハラハラドキドキがほとんどなくつまらないかも知れない。
しかし、後半の若手女優陣の見事な振り付けによるアイドルダンスは圧倒的にきらめいて素晴らしかった。カメラワークや女優の表情を美しく撮る明るい照明等は、ベテラン監督の才能を感じさせる。
純粋なタイムスリップ映画を観たいと言う方には本作はお薦めしません。アイドル好きのミーハー的な人(失礼)にこそお薦めします。