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リンキング・ラブのjyoのレビュー・感想・評価

リンキング・ラブ(2017年製作の映画)
5.0
あまり期待していた映画ではなかったのだが、レビューの評価が割りと高めでその評価から気になって鑑賞してみた。

これは、なかなかの傑作映画であると思う。物語は音楽の大好きな女子大生の美唯の両親が離婚の危機にさらされており、食い止める為に両親の学生時代にタイムスリップするというお話しである。コミック版の『ドラえもん』でも似たようなエピソードがあったのだが、『リンキング・ラブ』はどちらかというと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に近いような構成である。

しかも、美唯は、タイムスリップした世界でアイドルグループを結成するのだがら、そのおかしさも楽しい。

しかし、一見すると馬鹿映画のようでもあるのだが、映画の中にある隠しメッセージがなかなかのものだ。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』へのオマージュやパロディの映画であると思っていたのだが、実はこの映画はアンチテーゼを意図した作品ではないだろうかと感じたのである。理由として、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は非常に保守的な映画である事で有名である。マイケル・J・フォックスがチャック・ベリーの『ジョニー・B・グッド』を披露し、それをチャック・ベリー本人が聴くという場面がある。これは、「黒人は白人よりも劣る」という表現である。『リンキング・ラブ』ではそれを逆手にとったかのような展開があり、「白人が何でも一番だと思うなよ」と監督が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に訴えているかのようでもあった。

また、アイドルオタクの学生として登場する中尾昭慶の正体が明かされる場面があるが、あれは、1950年代や1980年代のアメリカでは到底作れないものである。

一見、B級のバカ映画かと思っていたが、その内容の濃さに驚いた。最後まで楽しい気持ちで観れた優秀な映画である
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