ルサチマ

となりの怪物くんのルサチマのレビュー・感想・評価

となりの怪物くん(2018年製作の映画)
4.5
過去の説明にしか本来なり得ない回想がこの映画では刹那的に思い出すことの映画的衝動へと昇華されている。
唐突的に現れる菅田将暉は、ラストでわざわざネットを潜り抜けて土屋太鳳のもとへと歩くのに対して、土屋太鳳はジャンプによって瞬間的に菅田将暉のもとへ接近する力を獲得できた喜びで満たされる。
記憶もまた唐突に呼び起こされ、映画ではカットが突如過去の映像を時系列にとらわれずに挿入される。冒頭で土屋太鳳の現在から過去の高校時代へいとも簡単に回想へ突入できるのは、届かないものから逃げていた土屋太鳳が、絶対に届くはずのない時間という過去の記憶を唐突なカットの連なりで、映画は思い起こす(失った時間に届く)ことが出来るからこそ成立しているんだと思う。

月川翔、西谷弘、古澤健はきちんと語られるべきウェルメイドなプログラムピクチャーを量産できる監督だと思う。
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