眠人

リバー・オブ・グラスの眠人のレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
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舞台は湿地帯が広がるマイアミの郊外。主人公のコージーは高校の同級生と結婚し、子持ちの主婦として生活しているが、がらんどうな町と変哲のない日常に鬱屈とし、劇的な変化を望んでいる様子。コージーはひょんなことから隣町に住んでいる瘋癲の兄ちゃんと逃避行に出ることになる。ようやくコージーの念願が叶ったかと思いきや、そうはいかないのがこの物語の味噌。人任せにしていても、柵の無い牢のような日常から脱出出来ないことを悟ったコージーは、鬱屈を吹き飛ばすある爽快な選択をする。それはコージーを牢に閉じ込め続けた男たちへの復讐でもあった。清々しいラスト。尺も程よく、起承転結も痛快。
ハイウェイジャンクション、ロードサイドの空きテナント、場末のモーテル。世界各地どこにでもあるような郊外の風景も、ケリー・ライカートの手にかかれば美しい画に変貌してしまう。まるで魔法使い。いやはや、感服。やはり自分は郊外を美しく撮る監督を愛してしまうらしい。
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