アメリカ・インディペンデントの“至宝”と称されるケリー・ライカートのデビュー作。
些かサンダンス系の意識高い自主映画というトーンだが、いまの作家性からは考えつかない様な事を、若気の至りでやっていたのが愉しい。
ヒロインは、身体はイイが顔がリンダ・ハミルトン似のおばさん面。その父親が刑事のくせに拳銃をすぐ落とすというボンクラ振り。近寄ってきた男も、見かけからしてカス。
そんなヒロインが結局のところ・・・
かつて“ラッツ=ネズミ”の様な青年アウトロー(たち)が目指し、辿り着けなかった、陽光輝く温かなフロリダから、逆に出たくても出ることが出来ない!?と言う皮肉で間抜けな顛末へと直走る。
そんなヒロインとアホが、人の良さそうに見えるちゃっかりユダヤ青年から「間抜けなクソ野郎!」と嘲笑されるクライマックスが、意表を突く。
そして、アレッ!?アイツどうなったの?を筆頭に、投げ付けて終わるなかなかの“映画的サービス”があって、若かりしケリー・ライカートの溢れ出す“それ”を観る事ができた。