カルダモン

人体模型の夜のカルダモンのレビュー・感想・評価

人体模型の夜(1996年製作の映画)
4.1
中島らも原作のホラーオムニバス『人体模型の夜』。映像化されてることを知らなくて興味本位で見てみたのだけど、原作をほとんどすべて無視したような内容に衝撃。むしろ原作にはない要素ばかりで困惑。しかもそれらのアクが強すぎる上になかなか気色悪いので目が離せない。これは一体何?
もはや原作にあった目、鼻、口、耳、胃、臍、などの人体に因んだエピソードはどこにもなく(鼻と耳くらい?)マンションに引っ越してきた調香師の梨恵子が出会う奇天烈すぎる住人たちの世にも奇妙なエロandグロ物語が展開。これ中島らも本人は観たのかな?たぶん観たんだろうな。なんなら割と楽しんでた気がする。特に父と息子のキャラクターは気持ち悪さが突出しているので要注意。
想像していたものとあまりに違う方向に飛びすぎて笑いました。

原作は12編の短編集で、少年が空き家になった屋敷に忍び込んで見つけた人体模型に耳を当て、12の器官が語り始めるという構成になっており、中島らものナンセンスな笑いと背筋が凍るような恐怖が全身で味わえる傑作です。好きなエピソードは『はなびえ』『耳飢え』『貴子の胃袋』。改めて読むと、どれも映像化した途端に陳腐になる可能性が大ではあるのだが、情景描写が上手いので作りたくなる気持ちはとてもよくわかる(だからこの映画は原作をほぼ無視したのかな?)