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リトル・マンのSadAhCowのレビュー・感想・評価

リトル・マン(2015年製作の映画)
4.0
EU フィルムデーズ、今日はチェコの『リトルマン』を鑑賞。チェコのお家芸とも言える人形劇である。チェコの人形劇の歴史はとても古く、19 世紀のハプスブルク帝国支配下まで遡るようだ。実写もアニメも CG 全盛のなか、マリオネットを使ったとてもクラシックな作品だった。

物語は主人公リトルマンの冒険譚である。リトルマン森の中に自分好みの家を建てたが、夜な夜な妙な夢で目が覚めるようになる。その原因を探す旅に出るのだが、解決する鍵はとても身近なところにあった。「身近にある大切さに気づくために遠回りすることもある」というのが本作のメッセージなのだ。

人形劇に限らず、チェコの映像作家たちには熱心なファンが多い。有名どころではヤン・シュヴァンクマイエル、ミロスラフ・シュチェパーネク、イジー・バルタなど。それぞれ個性を確立した作家なのだが、一目見て「あ、チェコっぽいな〜」と思える ”ご当地感” も確かにあり、何とも不思議だ。

本作に限らずだが、チェコの人形劇・アニメは、ファンシーなのに昆虫や怪物の造形が妙に生々しくてぎょっとすることがある。ストーリーもなかなか込み入っていることがあり、子供向けだと思っていると足元をすくわれる。しかし最大の驚きは、エンドロールに出てきた字幕翻訳者が私の大学の友人だったということですな……。
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