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白い鳩のbennoのレビュー・感想・評価

白い鳩(1960年製作の映画)
4.8
先日鑑賞した『マルケータ・ラザロヴァー』』の余韻の残るまま、同監督フランチシェク・ヴラーチルの『白い鳩』を鑑賞…。

オープニングから素晴らしい構図の映像…。大きなビルボードの上に男性がひとり夜明けを待ちます…車のライトがビルボードを照らし、ゆっくりと朝日が…そして…夜明け。彼の合図で無数の伝書鳩が一斉に空へ放たれます…。呼吸を忘れるくらいの美しさ…。

映画の舞台は…バトル海とプラハの街…

放たれたハトはそれぞれの飼い主の元へ…途中プラハのマンションで車椅子の少年ミヒャエルが一羽のハトを空気銃で撃ち落としていまいます。

同じマンションに住む芸術家マルティンによってハトは発見され…ミヒャエルはその後、歩けない自分をそのハトに照らし合わせ、献身的に介護します。

一方バルト海では、少女スザンネが自分のハトの帰りを毎日ひたすら待ちます…そう、あのケガを負ったハト…。

スザンネ…ミヒャエル…マルティン…見えない糸で繋がった3人…。

作中では芸術家マルティンが4度作品を制作します。
1度目…影を使ったハトの映し絵…。
2度目…黒い紙に白の絵の具でハトの絵画…。
3度目…窓ガラスをキャンバスに指で絵を描き白い紙を押し当てた版画…。
そして4度目…粘土を使ったミヒャエルの像…。

描画、制作シーンから出来上がった作品へと…とても興味深い映像です。

監督自身が大学時代、美術に精通していたこともありシーンが絵画的…。映像も『マルケータ・ラザロヴァー』のダイナミズムはありませんがロングショットと接写のバランスの良さ…。特に、人物の接写を多用し遠近法での奥行きを生かした映像はその度毎にため息の連続です。そして美しいバルト海…光と影の使い方は抜群!

台詞はとても少なく英語字幕もほぼガイドライン…
映像だけでも感じ取れるシンプルなストーリーはどこか詩的であり寓話的です。

映像だけなら星5つでも足りないくらい…。


thanks to; leylaさ〜んஐ・:*:・✿
thanks to; mimicot しゃまஐ・:*:・✿


YouTubeでご覧になれます♡

https://youtu.be/9asrqV0n2Ss
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