アズマロルヴァケル

ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊のアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

3.4
地味にいい映画

・あらすじ
フローレス、新人のデーヴィス、上司のホッブスはアメリカとメキシコの国境沿いの検問所で警備に当たっていた。車は数台しか来ず、3人が談話やゲームでもして暇を潰してるなか、一台の車が通過しようとしていた。デーヴィスが検問をするのであったがホッブスが睨みを効かして彼を問い詰めた。すると運転手が勝手に通過しよう急発進するのでホッブスは左手を挟んだ状態でしがみつくと右手で拳銃を取り出して運転手を射殺した。
デーヴィスがモゾモゾとするなかで車のトランクには1000万ドル以上のコカインが大量のトマトソースの缶詰から発見された。

フローレスとホッブスが通報しようかと考えたそのとき、デーヴィスは通報できないと言って二人に銃を突きつけた。実はデーヴィスは麻薬カルテルに脅迫されて手先としてこの車を通過させようとしていたのだがホッブスに邪魔されて計画が失敗。失敗すればデーヴィスの家族が殺されてしまいデーヴィスが局によって保護されたとしても家族は殺される運命らしく、デーヴィスは麻薬カルテルのところにいって大量のコカインを運ばざるを得なくなり、フローレスは仕方なくデーヴィスを手伝うことになるのだが……

・感想
この映画に関しては麻薬密輸の問題を描いた社会派ものでちょっと考えされる描写があるもののストーリー展開があまり捻りがなく、かといって演出上盛り上がりがなく地味で静かなのでとても評価が分かれる映画です。

内容に関しては冒頭で麻薬カルテルのボスとみられるティオとみられる人物が手先である10代前半の子供をバットで殴打して殺すところから始まり、このシーンだけで不穏に感じました。

それでテンポがかなりのスローな為に時間的には本題に入るのは早い方ではあるがアクションは少なく、会話が多いために凄く地味。注目するとしたら上司のホッブスがあまりに気が強くかつ正義感があるための行動でデーヴィスの厄介事に見舞われた挙げ句にホッブスがデーヴィスをやっつけようとして逆にデーヴィスに正当防衛されてしまって結局亡くなってしまうので悪いことを見逃すべきそうでないべきか……と考えたくはなる。それに比べて事実上主人公のフローレスは冷静で真面目な為にデーヴィスに最後まで付き合って麻薬をカルテルに受け渡そうとしていて、シンプルに描いているためにフローレスの過去が語られていないのが勿体ないが本編を通してみて新人をきっちり指導し先輩の遺志を受け継ぐ真面目な印象だけは認識は出来る。

しかし、本国の人が観たら評価が高いかもしれないが、もう少し視聴者に分かりやすい説明は必要だったかも。今まで観た映画で似たような舞台の映画を観たのでうっすら理解は出来たが画的な説明がないためにデーヴィスの背景を描くことぐらいはちょっと欲しかった。あくまでも国境警備局の仕事の話と麻薬カルテルの恐怖の話で全編通している為に少し登場人物の背景を描くだけでも好感度はあったと思う。

最も、サプライズだったのはラスト近くで数名の10代前半の子供が機関銃を射撃してフローレスとデーヴィスに襲撃するシーンは現実味があって恐ろしい。それでいて極限状態に追われてこんなことをせざるを得なくなったデーヴィスが一番可哀想かも。