mimitakoyaki

ザ・キングのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ザ・キング(2017年製作の映画)
3.9
大掃除も年賀状作りもしたくなくて、現実逃避するべくこんなおもしろそうな韓国映画を見てしまいました。

チョインソンとチョンウソンがどっちがどっちかわからなくなるわたしですが、今回でちゃんと分かるようになりました。
チョンウソンのゲスっぷりは天晴れだし、ペソンウも大好き♡
リュジョンヨルにもグッと来るし、序盤に出てきたソンドンイルも笑えるし、コアソンがヤクザの一味でお茶汲みとかしてるし、キャストも豪華で大いに楽しめました。

最初に韓国の激動の歴史が映されますけど、韓国映画やドラマを散々見てきたおかげで、光州事件、民主化運動、ソウルオリンピック、文民政権誕生、ソンス大橋崩落、サンプン百貨店崩落、アジア通貨危機、南北首脳会談、日韓共催W杯…など、ちゃんとわかったところが嬉しい楽しい♪

地方の不良が、誰もがひれ伏す権力を持つ検察官に憧れ、成り上がって行く話ですが、全斗煥から盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博まで歴代大統領がどんどん出てきて、政権交代のたびに、検察内でもその力関係によって厳しくもなったり出世できたりと左右されるのが描かれていて、どこまでホンマか知りませんけど、検察とヤクザと政治家の三位一体ぶりがまあどす黒いんです。

でも、日本だって安倍前首相が不起訴になったなんて最近もあったばかりで、まあそんなもんなんでしょうね。
正義とか公正とかとっくになくて、「権力に寄り添う」どころか飼い慣らされた組織になってしまってるんでしょう。

韓国の検察もひどいもんで、自分にとって都合がいいかどうかで検察が動くか決まるし、めちゃくちゃ自分本位に例えば刑期を短くしたりなどの操作したり、スキャンダルを隠すために温存しておいた別のスキャンダルで覆い被せて目眩ませをするとか、汚い仕事はヤクザにやらせて、政治家と結びついて懐も肥して…とめちゃくちゃ悪どいです。

はじめは人並みの正義感だってあった主人公テスが、ハン部長と出会い、魂を売って成り上がったものの、その過程で大切なものをも失っていき、どん底まで落ちぶれてからの「やられたらやり返す!倍返しだ!」のやり口が、伏線が効いてて面白かったですし、自分をやり込めた女たちを味方につけるところも良かったです。

チョンウソンの長い脚から繰り出される飛び蹴りが見れてありがたかったですし、ペソンウが最高だし、リュジョンヨルはなぜかいつもかっこ良く見えるし、あと犬の使い方とか…いろいろと楽しめました。

最後のやり返しも、テスが正義感を取り戻したとか真っ当になったとかではなく、あくまでやられた分やり返す復讐をしただけなんですけど、そのゲスさを残してるところも良いし、痛快だし、激動の韓国史と重ねて語られてるところに見応えもあり、面白かったです。

高校時代から検事になるまでもテンポよく面白みのある映像でまとめてきて、そんな導入部でしっかり心を掴んでくる作りも上手いと思いました。

自国の闇もこうしてエンタメに落とし込んでしっかり描ける韓国映画はやっぱりすごいです。

82
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