木葉

ゴールデン・リバーの木葉のレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
3.8
西部劇が大好物なので、点数は甘め。
私は個人的に好きな監督なのだけど、西部劇映画としてのストーリーテリングはちぐはぐでちょっと中途半端。どちらかといえばノスタルジックなヒューマンロードムービー寄り。
でも4人の俳優人の演技が素晴らし過ぎて
、熱演が映画を驚異的な面白い演技合戦に作り替えている気がする。
暗闇の中での銃撃戦(爆竹音)から始まり、
魅力的な殺し屋兄弟、追う追われる4人のギリギリの展開をクローズアップするんだけど、西部劇ならではのハラハラドキドキ感は殆ど皆無でのんびり穏やか。
ホアキンフェニックス目当てで行ったけど、
巨漢で中年過ぎた純粋な大きな、アライグマみたいな殺し屋の兄ライリーが茶目っ気たっぷりで愛くるし過ぎて、大好きになって、ずっと目で追い続け応援していた。
時代は1850年代、原作はブラザーズシスターズだから、どちらかといえば殺し屋兄弟ライリーとヘェニックスの物語だが、
ジェイクギレンホール演じる殺し屋への連絡係や、彼らが殺そうとする目的の化学者、リズアーメッドも丹念な役作りで存在感を増してて、途中からは奇妙な友情ドラマに変わって、、4人ともほんとは人間味溢れる善人なんだって気付くポイントもいい。
本来は、荒れはてた地で、
復讐のためにや、悪人を制裁する西部劇ならではのヒロイズム要素が好きで、
サバイバルな状態で、生きるか死ぬかのドロドロに塗れた緊迫感や、殺し合いの後にカタルシスを得るのが醍醐味だったんだけれども、
桃源郷を求めて、4人が交錯して、互いへの思いやりは微笑ましいし、目的が変わっていく行き当たりバッタリ感に気づけばハマって面白い。
スカッとするより、穏やかであぁ良かったなと安堵の余韻が広がる異色の西部劇。
何より、4人の中年マッチョな熱い俳優人が人間臭くて、荒々しさや脂ぎる猛々しさや愚か過ぎる中に優しさや弱さを秘めてる繊細な人間像を各々で構築して不思議な融合を観れるから、
彼らの人間ドラマとしては充分見応えあり、個人的に続編希望な映画。
木葉

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