シネマスナイパーF

ゴールデン・リバーのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
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こうとしか生きられない
わけじゃない

ジリジリと伝わる西部の空気、その生々しさだけで観る価値がある
終盤読み上げられるある文がすべてじゃないかな
火を焚いて会話をする場面がしつこいぐらいにありますが、描く目的は明確だった


基本的には男たちが仲良くしてるそれだけの話なんだけど、まさしくロードムービーといったところで、背負った罪や無意識に縛り付けられていた存在からの脱出、そして理想の場所へ向かうための旅路を描いている
普通に生きたいと思っている兄がいるように、何も人間が擦り切れている世界ではなく、時代が、世界が擦り切れているだけ
仕事を降りられ怒り心頭でも、助かるために協力し、気がつけば酒を交わし歯磨き友達

目の前の財産があれば、理想の社会が、理想の自分が、強い自分が、そして普通の暮らしが待っているかもしれない
それぞれ、思い出の布の匂いを嗅いだり、酒に浸ったり、手記に本音を書いていたりと人間味溢れているからこそ、いざまみえても火を囲めたのかもしれない

先述した生々しい西部の空気に、ど迫力の銃声がまた素晴らしい
無残にもあっけなく死んでいく、いや、死んでいた旅の仲間が切ない
どれもこれも、あまりにもあっけないことが多い
ひとつ引いた好奇心の引き金が悲劇になり、全てを終わらせるために向かった先では銃の引き金を引く必要すらなくなっていた

思わぬエンディングを迎えることになるが、そこには全てから解放された理想があった


4人の名優の共演に酔いしれましょう