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ジェントル・クリーチャーの作品紹介

ジェントル・クリーチャーのあらすじ

『国葬』などの<群集>ドキュメンタリー3部作や『霧の中』(2012)、『ドンバス』(2018)などで知られるウクライナ出身の鬼才セルゲイ・ロズニツァが2017年に発表した衝撃の寓話。ドストエフスキーの短編「やさしい女」(1876)にインスパイアされ、全体主義国家の腐敗や不条理に翻弄される人々を、説明を廃した異様な緊張感のあふれる描写で描く。第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、第24回アダナ映画祭(トルコ)で審査員特別賞、2018年ウクライナ映画アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した。ロシアの村はずれに一人で暮らす女性。ある日、収監中の夫に送った小包がただ「差出人に返送」と書かれ、何の説明もなく返送されてくる。ショックを受け、混乱した女性は、理由を探ろうと辺境の地にある刑務所に向かう。夜汽車に乗り、辿り着いた刑務所には同じような境遇の人々が長蛇の列を作っていた。順番を待ち、差し入れを頼むが許可されず、抗議すると連行され、釈放されると今度は怪しげなブローカーたちが彼女につきまとう。やがて、駅で途方に暮れる彼女はある謎の屋敷へ連れていかれる。そこには軍の管理の下、様々な人々が集められていた…。

ジェントル・クリーチャーの監督

ジェントル・クリーチャーの出演者

原題
A Gentle Creature/Krotkaya/Une femme douce
製作年
2017年
製作国
フランス
上映時間
143分
ジャンル
ドラマ

『ジェントル・クリーチャー』に投稿された感想・評価

sashaice

sashaiceの感想・評価

4.0
"全て手配した。準備は整ってるから。行けばわかる"
人間を人間扱いしないロシアの社会の闇をウクライナの監督が痛烈な皮肉を込めて風刺。ある意味通常運転、少しのファンタジーも込めて。猛獣は紳士の顔をしてるっていうけど、この村女性一人じゃ迂闊に寝れないね。不機嫌な婆さん、毎日規則が変わる、基本キレ気味、気分次第で休憩、毎週襲撃される、ロシアのサービスの通常運転すぎた。最後ちょっと謎展開。主人公名前すら知らされないけど2時間半彼女の苦難と試練を観続けて、タイトルは彼女のことだったんだって思いました。偶然ビンが自分の方向いてストリップ野球拳の巻き添え食らってて草。刑務所の晩餐会の皮肉強wロシアの郵便がみなさまに最高のサービスを届けることを祈りますw

メモ
"練乳をくれ!"
"アメリカ人は売春婦より俺たちの人生を救え"
"売春婦は酸に溶ければいい"
"酸の地獄へ堕ちろ"
"マルクスのクソったれ。偉大な国を台無しにした"
[ある寡黙な女の孤独な闘い] 99点(OoC)

2017年のカンヌ映画祭コンペ選出組は本作品を除いて全て劇場公開されたことが話題となった。そうして私は漸くロズニツァの名前を知り、最も有名であろう本作品から彼の作品を巡るマラソンをスタートさせることにした。ドストエフスキーの同名小説『やさしい女』をベースにしていると言われるが、内容的にはカフカ『城』のほうが近いように感じる。

ふくれっ面のリース・ウィザースプーンのようなヒロイン"優しい女"が直面する現代ロシアの闇を丁寧に描いた重厚なドラマ。未だに帝国時代から脈々と受け継がれるロシアの闇の歴史を浮き彫りにする。犯してもいない殺人罪で服役する夫に送った荷物が理由も聞かされずに送り返されたことで女は直接届けに行くが、それも"ダメだからダメ"と追い返される。人は彼女を見て慣れたように"父親か?夫か?息子か?"と訊き、荷物の受取拒否にも"よくあることさ"と受け流す。

ロズニツァは居心地の悪い空間を創造するのが非常に上手いと感じた。オストルンドの冷笑的なそれよりも対象を突き放した感じが気に入った。例えば、激混みのバスの中で喧嘩する人々や電車で酒盛りする人々の側に女を配置し、カメラは執拗に混乱を描いた後に仏頂面の女を画面にパッと入れることで、彼女が当事者であると同時に我々やロズニツァと同じ観察者であることも提示する。女は決して"その他大勢"に迎合して今の状況が普通であると諦めないし、状況に麻痺して暮らす人々に対しては冷静な目を向けている。だからこそ、人権活動家の事務所で万策尽き果てた時に動揺する姿は心動かされる。

空間は居心地が悪いが、映像としては色彩感覚が私の好みドンピシャで驚いた。ワイエス『クリスティーナの世界』のような色彩感覚に至る冒頭から美しい映像が連なるのだ。ロングショットの使い方が非常に上手いのは個人的に評価したいが、最も気になるのは居心地の悪い空間を描くシーンでは女の仏頂面を写すショットを必ず最後に持ってくることだろうか。

ソ連は糞だったと言う若者に対してソ連時代の軍歌を歌って返す老人。息子を亡くした老婆を囲む彼らを執拗に観察した切り返しに"優しい女"が映り込む。彼女に紅茶を驕った老人はやがて"何をしたか知らないが私も5年ブチ込まれた、君の夫も帰ってくるさ"と女に返す。カメラは女に近づいて窓にすら誰にも映らなくなり、彼女の孤独を強調する。

刑務所の最寄り駅の広場にはレーニンの胸像がデカデカと残っている。この駅の名前はOtradnoeと書いてあり、英語訳するとJoyfulとなるのだ。そんな駅名は存在しない。この辺で我々は気が付く。この映画は"リアリズム"と"メタファー"の映画ではなく徹頭徹尾"メタファー"の映画なのだ。その後もメタファーの描写は通りの名前にマルクスやジェルジンスキー(ソ連秘密警察の初代長官)を冠していたり、人権活動家の部屋にスターリンの肖像画飾ってあったりすることで、持続していく。

刑務所では関連部署のサインがないからと荷物を突き返され、外で部屋を貸してくれるおばさんに話しかけられる。彼女についていく女だったが、酒を呑んで騒ぎまくる同居人に耐えられなくなって外に出る。翌日も書類すら見てもらえず、車庫入口で無言で立つという抗議をしたところ警察に逮捕される。目の前で殴り合いの喧嘩が起こって一人が気絶しているのに、警察は女の些細な罪を攻め立てる。

解放された女は前日に会っていたポン引きの男に再会し、元締めに会いに行く。途中寄った売春婦の家で刑務所の職員に絡まれる。元締めは簡易火葬場で恋人のバラバラ死体を燃やして発狂した息子の話をするが、別の男と話しはじめて席を離れる。女は人権活動家の事務所へ向かう。だが、活動家の下には大量の依頼が舞い込んでおり、女の依頼に結果が出るのは3週間ほどかかると言う。流石の女も最期の望みが絶たれたことに動揺していた。

駅に戻るも行く当てなく、疲れ果てた女は眠ってしまう。全員が眠った駅で、女は一昨日家に誘ったおばさんに起こされる。彼女は"全て用意ができた"といって女を外に連れ出し、警察の馬車に乗せる。画面全体が幻想的な青白い光に包まれて、珍しくカメラが揺れる。古き良き思い出を懐かしむ歌『長い道』が流れて幻想的な夜が強調される。やがて馬車はソ連兵の前で女を降ろして通り過ぎ、ソ連兵と森を進む女は山小屋に連れて行かれる。そこで、これまで出てきた人物全員がソ連時代の宴会を開いていた。それぞれが、今の生活や考えを述べるが、我々は同じ人間で国家の宝だと煙に巻かれる。共産主義とは原理的には人類平等という側面があり、ソ連としては対外的にはそうしていたが現状は違うということを示すシーンであり、その実ソ連時代の排除の歴史は現在とも陸続きであり、対外的な制約が取り払われた今となってはより過激化しているという事実を我々に突きつける。

宴会会場からパッと女の顔のショットに戻る。いつも通りの仏頂面を映すいつもの手法だ。そして彼女は宴会のメンバーに送り出されて護送車に乗り込み、警察官に強姦される。これは国家に"強姦"された女の現状を過激に示したものと思われるが、個人的には気に入らなかった。演出としても後で電車の音がするので駅で眠っている事がわかる。再び駅。例のおばさんに起こされ、"全て用意ができた"と言われる。女は彼女について行く。馬車の音がしないから繰り返すわけでは無いだろうけど、どうなったかは語られない。

"優しい女"と呼ばれた女は果敢にも国家に対して孤独な闘いを挑んだ。それがどういう結果を結ぶものであっても、ロズニツァの手によって、その記録は永遠に残されたのである。
ウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァ監督による、ロシアにおける全体主義国家の腐敗や不条理を描いたリアリティのある寓話。

ドストエフスキーの短編『やさしい女』からインスパイアされたという作品。

ブレッソンのものとはまた全然違う作品でした。

ロシアの村はずれに一人で暮らす主人公。
収監中の夫に送った小包がただ「差出人に返送」と書かれ、理由も知らされず返送されてきたことから、理由を探ろうと僻地にある刑務所に向かうという話。

ソ連時代から続くロシア国家組織の絶対的権力というものがどんなものであるか、そしてそれに立ち向かうことがどんなに困難であるかということをまざまざと見せられた感じです。

ドキュメンタリーのようにシリアスな展開から、ラストの方で寓話的な展開へと進むのですが、結果全然寓話的ではなかったです。

この作品を〝寓話〟と呼称していることさえ、ロシア政府に対するカモフラージュなのではないかと勘ぐってしまうくらい、リアルな作品に思えました。

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