emily

ラブレスのemilyのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.1
離婚調停中の夫婦にはそれぞれの恋人がおり、早く縁を切りたいと願っていた。二人には12歳の息子がおり、新しい生活には邪魔なため、互いに押し付け合い喧嘩になってしまう。その翌朝突如息子は行方不明になり。。

美しい雪景色から、圧巻の自然美の中で、絵画のような冷えた美しさを切り取る。序盤は夫婦それぞれの目線に加えて、息子の心情も見えてくる。窓に浮かぶ水滴のように、夫婦は息子の気持ちには一切気がつかない。

互いに疎ましくおもい、喧嘩が絶えない夫婦、その見せ方も独特で、嫌悪感を感じさせる。あっという間に息子がいなくなってからも、夫婦には歩み寄りはなく、互いにに責め合う日々だ。

大事なことを見失ってしまった二人に与えられた過酷な試練は、スタイリッシュなネオンや色彩に溶け込み、それぞれの身勝手さが浮き彫りになる。


側から見たらその身勝手さに気がつくが、本人たちは一切気がつかない。さまざまな方向からカメラは捉えるが、夫婦は根本的な物を見ようとすることはなく、ただ無情に時間だけが過ぎていく。

いなくなってから、子供の姿は一切映らない。そして想像もできないラストへ導いていく。人の身勝手さに心痛むが、それは他人事ではない。誰しも自分が大事で、自分の幸せが優先なのだ。

冷たくもしっかり人物像に寄り添った作品になっている。
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