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女王陛下のお気に入りのkakkoのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
大変面白かった。
よしながふみNHK「大奥」を大変面白く見ているところなので、ちょうど時代も同じ、これは英国王室の「大奥」。
アン女王陛下の孤独と絶望の深さが胸に迫ります。最高権力者でありながら政治的手腕には欠け、17人産んだ子供をいずれも亡くしてきた母であり、埋めることのできない孤独と愛の空白を抱いている女性。オリビア・コールマンが見事に演じきる。陛下の寵愛を激しく奪い合うサラとアビゲイルも良かった。「ララ・ランド」のエマ・ストーンがど迫力、まるで違う顔を見せます。特に最後のシーンはコールマンがアン女王の心と身体の虚無や孤独の深さを表情のみで演じる秀逸なシーン。アビゲイルはここでは居ながらにして無に等しい存在。うさぎ(子供たち)の映像かぶせることで、ふたりの関係と孤独を浮かび上がらせる手法も意外性があって良い。エンディングの歌が現代風なので、歴史ドラマだけどしっかり現代映画にみせている。

18世紀初頭の王室の権謀術数と爛熟。対外戦争によって混乱を極める政治と人間。これは江戸の大奥の権謀術数、将軍の痛いほどの孤独感と同じ。もっとも、江戸幕末までは対外戦争がないだけにもう少し内向的。
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