ゆかちん

女王陛下のお気に入りのゆかちんのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
2.8
エマ・ストーンは、ドン底からライバル蹴落として成り上がる役が似合うね!


18世紀初頭、フランスとの戦争下にあるイングランド。女王アン(オリヴィア・コールマン)の幼なじみレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)は、病身で気まぐれな女王を動かし絶大な権力を握っていた。
そんな中、没落した貴族の娘でサラの従妹にあたるアビゲイル(エマ・ストーン)が宮廷に現れ、サラの働きかけもあり、アン女王の侍女として仕えることになる。アビゲイルは再び貴族の地位に返り咲く機会を狙い、女王のお気に入りになることでチャンスをつかもうとしていたが……。


歴史モノではあるけど、色々と史実から改変してるのかな。
まあ、アンの側にいたサラの代わりにアビゲイルがつく、みたいな、大まかな流れは沿っているのだろうけど。

観た後は、なんか虚しいな〜ってなった。

くだらない理由や私利私欲で国を動かす支配層の人間について滑稽に描いてる。
そして、その狭い世界の一部の人間の小競り合いによって大多数の運命が決まってしまう…こういう「権力」というものの不条理さを表しているのだろうか。

日本の政府もそうかもなー。
自分たちの票や保身のために、なんそれな政策して国民が迷惑被るという。

大きな視点としては、こういう感想。

もう少し小さく見ると、ドロドロの愛憎劇だなぁという。
メインの3人が人間くさい。
3人ともキツいな〜て面があるんやけど、それぞれに同情する面もある。

アン女王、今は女王としての能力もないし自分の欲望メインで国を治めるものとしてどうなん!?やけど、10人以上の自分の子供を流産や幼い頃に病とかで亡くすという経験をしていて。そりゃ精神的に壊れても仕方ないよな〜と。愛が欲しいという、とてもシンプルな気持ち。あと、ちゃんと国民のことを憂い、考えるところはある。
オリヴィア・コールマン凄かった。
見た目の変化も凄かったけど、哀れさ、傲慢さ、孤独、不機嫌、愛情、無邪気さ、などなど、色んな感情を抱えて複雑な上に不安定な役をガッツリ表現。
なんかこの人、存在感強いよな〜。
すっぴんかつボロボロなの、女優さん嫌がりそうやけど、さすがという表現でした。


サラも、増税で全て差し出せみたいな、国民にとっては酷い政策を打ち出してるけど、戦争の中、強い英国として維持するため、と、国ことを思ってのことというところはある。
あと、アンをいいように操ってはいるけど、本当にアンのことを想っているところもあるんやと思う。昔からの付き合いやから情はあるんやろなーというか。
レイチェル・ワイズが美しい。
美しいけど、嫌な面のある役を初めて観たから新鮮!傷だらけになった顔も初めて!
衣装綺麗やったなー。
銃を撃つときとか、馬に乗るときの男装的な服装がまたカッコ良かった!

そして、最後、夫に向かって言った、「イングランドはうんざりしたから、国外へ」というセリフが、この人やっぱ強いな〜変わらんな〜て感じで良かった。

サラの夫役にマーク・ゲイティス!
英国が舞台なら出てほしい役者さん笑。
軍人として活躍しつつ、サラを支持して見守ってきたんやろか…という雰囲気でした。
まあ、最後、サラの言葉を聞いた時の表情とか状況把握のときとか、振り回されてるなぁというのもあるけど笑。

アビゲイル、最初かわいそうな育ちで同情したけど、ただでは転ばないエマ・ストーン笑。
最初は健気そうな表情で可愛い雰囲気やのに、どんどん表情がキツくなる。
大きな目で色々語るの良かったな。

ただ、最後、サラの女王宛の手紙を燃やす際にアビゲイルが少し涙を流す場面があって。あの涙はなんだったのかなぁと思いを巡らせた。

ニコラス・ホルト、色んな作品に出ててキャリアあるけど、まだ30代前半なんやな〜。
危うげな美男子も特殊メイクも悪役も、今回みたいなゴテゴテ衣装もやってしまう不思議な存在。
瞳がハッとする魅力をもつ。
でも、なんかカリカリしてる嫌な奴が多いのかなw
ハーレー、国民を想い増税反対いうて良いやつかと思いきや、めちゃ酷いことするしゲスい。こういうのが人間なんやろかなぁ。


本当のお気に入りを永遠に失ったことに気づく女王と、勝ったとは思ってたけど自由を永遠に失ったことに気づくアビゲイルの虚しい表情が印象的でした。


しかし、豪華絢爛で装飾品も衣装も美しい。
なのに、描かれるのは下品でゲス、人間のイヤーな面ばかり。
なんともなんとも。
監督、ロブスターや聖なる鹿殺しの人なんやね。両方とも観てないけど、あらすじみて人間のイヤーな面とか虚しいところとか炙り出して風刺みたいなのをしてそうという印象。
今回もそういう感じなんだろうか。
ゆかちん

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