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女王陛下のお気に入りのochoのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
人間のいやーな部分が凝縮した映画。
胸糞レベルはマレーナほどではないが、人間不信になるには十分な内容。

メンヘラ×痛風のアン女王(オリビア・コールマン)の代わりに
その幼なじみで側近のマールバラ公爵婦人サラ(レイチェル・ワイズ)は絶大な権力を振るっていた。
17人の子供を失った女王は、ウサギにその名前をつけて"こどもたち"と呼んでいたが、国政を担い、権力闘争でも忙しいサラはどことなくドライ。とはいえ、常にそばにいて女王を支えていました。

そんな中、貴族から没落したアビゲイル(エマ・ストーン)が参内し、その優しさと魅力から、サラに侍女として迎えられます。

純粋で、女王の繊細な部分に寄り添うアビゲイルは徐々に女王の信頼を得、サラにも忠実であろうとした彼女でしたが、ここは食うか食われるかの場所だと分かってから、徐々に狡猾な部分を出していきます…

ある日、女王とサラが性的にも繋がっていると知ってしまったアビゲイルは、美しさを利用し、女王をその気にさせ、夜を共にします。
次の日にその職をサラから解かれるも、自作自演の暴力にて、女王に取り入り、部屋付きの侍女になります。

女王のお気に入りのポジションへとのしあがり、サラを脅かす存在に。。女王は女王でふたりの女たちが自分を取り合うことを楽しんでおり収拾もつかない事態に。まさに三者の思惑が交錯する三つ巴。

エマ・ストーンの最初の純粋に見えるところから徐々に本性を出していく過程は、なんかこいつ変わってきたなと感じるものの、視聴者すら騙す演技力…
彼女の可憐さと腹黒さ両方表現できる演技力は圧巻です。2021年のクルエラでも発揮していますね。

男にも物おじせず対峙し、厳しくも嘘をつかないサラか、耳障りはいいが明らかな嘘を言い夢を見させるアビゲイルか。どちらも悩ましい生き方です。(できればどっちも歩みたくない)

脅すような事をすると信頼は一度に失う。しかし、嘘で塗り固められた仮面も見抜かれたら、すぐに剥がれ落ちる。どちらも弱さがありますね。
3人とも幸せそうではないのがなんともいえないラストシーン。
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