前に観た記憶はあるんだけど、ヨルゴス監督括りでまた視聴数伸びてるぽいから再度観直してみた。
本当に誰も救われないというか、生き延びるためとはいえ、人を蹴落として得たものって、真には幸せにはなれないよね。
高貴と高慢、絢爛と醜悪、見せかけの忠誠と個人の思惑って紙一重と思わされる世界。
大奥なんかもこの類。
個人的に数回目の鑑賞だと思うんだけど、観るたびに陛下が可哀想になってしまう。
流産や死産、たくさん辛いことはあっただろうけど、その痛みってことよりも、そういったある種「世間の目的には失敗」みたいなことを通して、どんどん尊厳を削がれて自信を失ってきた、それが全てなんだろうなと思わされる。
そこに加えて周囲には「自分がのし上がるための道具」として扱われ、一見恭しく振舞ってもらっているようでその実マウントを取られ続けてる。
これはきつい。
本来は人の心と意思をしっかり持って、勉強熱心なんだろうという片鱗も作品の中で見えるから、それを奪われた状態で、ただ真の愛を求める迷子のようになってしまってるのが最後まで哀しい。
一見バカっぽく見えるけど、そうじゃなくて、「奪われてきた人」に感じる。
最後オーバーラップして終わるウサギたち。
直前のシーンでアビゲイルに足蹴にされていたウサギ。
その鳴き声で覚醒するように、アビゲイルの髪を掴んで脚を揉ませる。
虚ろな目をしているけれど、ようやく自分を取り戻そうとしてるのかなと思った。
見所は2人の女の戦いの体をとってるけど、やっぱ中心は陛下ですよ。
人って尊厳奪われるとこうなっちゃうのよ。
そう思わせるオリヴィア・コールマンは流石と思う。