かんやん

女王陛下のお気に入りのかんやんのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
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ヨルゴス・ランティモスは、『ロブスター』とか、『聖なる鹿殺し』とか、退屈しないどころか、登場人物の感情の寄る辺なさとか、胸くそ悪い暴力とかに妙に惹きつけられるけど、なんか奇をてらっているようなところが鼻につくといいますか、無理矢理感がそんなにも好きでもなかった監督。

新作『哀れなるものたち』が原作ものというので、映画館で観たかったけれど、時間が合わなかったり、席がとれなかったり、疲れていたり、急な仕事が入ったりで、永遠に観られそうにないので、本作を配信で鑑賞。

初のコスチュームプレイは素直に面白いと思ったら、脚本は別人、演出の腕を買われて雇われたのか。だとしたら、立派に職務を果たしています。

三角関係の嫉妬を、野心や陰謀に絡ませた脚本がフレッシュで、主役の三人の女優の化粧気のない(風の)アップが良い。その困惑、不安、怒り。イキイキしてます。逆に男優陣は、意図的に薄っぺらく描かれていて、カツラと厚化粧で飾り立て、素顔のアップはないような。

これ、脚本と役者たちが同じで、演出が違ったらどうなっていただろうと考えてしまう。魚眼レンズを使用したような映像の多用はうるさく感じたけれど、映画館だったら映えたのかもしれないな、とも。

歴史上の実在の人物・出来事にインスピレーションを受けて、自由に改変するなら、もっと思い切って事実からかけ離れて展開させても良かったかもしれない。ラストは弱いと感じた。
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