せりな

女王陛下のお気に入りのせりなのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
これぞブリティッシュ・ブラックコメディという作品だけど、ヨルゴス監督はギリシャ人というのがおもしろい。
ロブスターや聖なる鹿殺しより以前から制作に取り掛かっていて脚本完成までに4年もの歳月がかけられている。徹底的に練られた脚本は、人間のエゴを凝縮しつつも愛情とは何かという問いも込められている。
17世紀のイギリスが舞台ではあるが、現代にも通じる普遍的な物語でもあるという意味もあり、衣装はデニム素材を使ったり斬新。メインの3人は白と黒、金の3色で統一されていたり衣装もメッセージ性が強い。
実力派の女優陣に練り上げられた脚本、こだわり抜いた衣装と美術、そこにラディカルな演出が加わって究極のブラックコメディが生み出されたと言えるんじゃないかな?

基本的にいい人は出てこないし、みんな保身と成り上がることしか考えてない。映画の中では誇張されているとは思うけど、裏を返せばあの時代あれくらいの野心や強かさがなければ生きていけなかったのかなと思った。
イニシアチブの取り合いに関しては、歴史に詳しい人なら最後の展開は予想できてしまうけど、知らなくても一番強かなキャラクターはピンとくる人も多いんじなないかな?
ニコラス・ホルトもいい仕事してたし、キャスティングはホント良かった!
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