エミさん

女王陛下のお気に入りのエミさんのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.3
試写会にて。第91回アカデミー10部門ノミネートという久々の大作。
18世紀英国王室が舞台。超絶かまってちゃんな英国女王の寵愛を巡って侍女2人が繰り広げるブラックコメディー。
衣装も建物も、もちろん文句なくキレイで豪華絢爛。登場人物を引き立てるために下からグッと映したり、シネマスコープみたいなワイドな構図の映像とか撮りかたにも特徴があってキレイだった。

出てくる人達は違わずキレイでエレガントだが性格はエグい。お国のために…と国民から税金を徴収する傍らで、宮廷貴族達は自身の慰みに贅を尽くしている。そんな姿を見るにつけ、ますます嫌な奴らに見えて腹が立ってくる。

そして個人的に最も不可解に思えたのが、途中に出てくるダンスのシーン。レイチェル・ワイズ様が華麗に踊るのですが、貴族が踊るにしては激しい運動量の何とも妙な振り付け。あのダンスは当時、本当にそういう踊りだったのですかねぇ…。アン女王がヤキモチを焼くくらい熱中してしまうらしいダンスを、私は「何だかすごいダンスだなぁぁ」と、くちアングリで観てしまいました。
( ̄▽ ̄;)

英国王室ネタは多くの人達が興味を持っている話なので、王族としての史実が残っていても、アン女王自身の内面部分を知る機会というのは、あんまり無いのではないかと思う。この作品を観て、自身も「そうなんだ…」と知る話が多かった。女王の視点はもちろんのこと、サラやアビゲイルの視点を通してもアン女王の人となりが伝わってくる。貴族に返り咲こうと画策するアビゲイルのギラギラした姿や、政治とアン女王に必死に挑んでいるサラの姿は、とても特徴的で滑稽で面白いので、最初のうちは、その描写がこの作品の醍醐味だと思っていたのだが、それぞれの観点から物事が進んでいても、それらは全てアン女王に繋がっていて、「やっぱりこれはアン女王の物語なんだな」と思いました。他の人達のように私は声をあげて笑うことはなかったですが、インパクトのある終わり方に、強い残像感を与えてくれるとても素晴らしい作品だったなぁと興奮しました。

『守りたいもの』を持っていることって人の急所でもあるけど、『守りたいもの』を持っていないと人は強くなれないってことがよくわかる作品です。