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女王陛下のお気に入りのスペクターのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
映画『女王陛下のお気に入り』
 
丁度一週間ほど前、
家内が、この映画観たい...と新聞に釘付けになって言った。
「女王陛下の.....」と言ったとき、私は「う~ん」という思い。
「エマ・ストーン とそれに レイチェ.........」と言ったとき、
私はおもわず横から新聞を覗き込んだ。
“レイチェル・ワイズ” 出てるがなぁ~。
“エマ・ストーン” も。
これは行くしいかない!

と、いうことで封切2日目の
2月16日土曜日朝一に一緒に観てきました。

さてこの映画、
アクションでもサスペンスでも、なんでもない映画なのに
見応えは “1級クラス” の迫力満点の出来栄えである。 [アカデミー作品賞ノミネート]

“レイチェル・ワイズ” はもちろんのこと、
“エマ・ストーン” それに女王陛下役の “オリヴィア・コールマン”
それぞれが、三者三様の熱演ぶりに圧倒される。
[3人共主演・助演女優賞ノミネート]

一見煌びやかな英国王室に繰り広げられる寵愛・葛藤・嫉妬・駆引きなど
どろどろした内面を描き出す宮廷ドラマ。

宮廷内の暗闇と燭台の灯り、夕闇の宮廷庭園から出ていく馬車の飾り窓の灯びなどの絶妙のアンサンブル。 [撮影賞ノミネート]
エマが女王の寵愛を受けている処を見てしまったレイチェルの
燭台に映し出される凄みのある顔は何とも言えない。

燭台の灯りに映えるよう工夫されたメタリックカラーのドレス、
デニムの素材を駆使したドレス、
オープニングにのみお目見えした女王のクジャクのような豪華ドレスなど
観る者をして堪能される衣裳の数々。 [衣裳デザイン賞ノミネート]

廷内で描き出される劇的な場面に添えられる宮廷バロック音楽による音響効果は見事である。
特に、殺されかけたレイチェルが戻ってくるシーンに歌われているカンタータの声色は素晴らしい。

監督はギリシャ出身の鬼才 “ヨルゴス・ランティモス” [監督賞ノミネート]

エマはアメリカ出身であるが、レイチェル、オリヴィアの二人はいずれも英国女優であり、
流暢な QUEEN'S ENGLISH の響きが映画を一層盛り上げている。

エンディングの終らせ方、
自らが導いた運命的な結末、
どうしょうもない女王の葛藤が見事に表現されている。

エマがレイチェルにいなされて、女王室を引き下がらされるシーンの
「クソッ!(FUCK!).....」 を繰り返しながら遠ざかって行く様は実感が籠ってて面白い!


残念ながらエンドロールの活字はいただけない。
視力検査表を見せられているような。
この映画の雰囲気とはミスマッチィングである。


これから観に行かれる方、是非、映画館で堪能してきてください。
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