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女王陛下のお気に入りのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
5.0
祝!アン女王陛下ことオリヴィア・コールマンさん、アカデミー主演女優賞戴冠!

今年は英国女王映画の当たり年らしい。一本はヴィクトリア女王を描いた作品。そしてもう一本はアン女王。二人とも何気に実話に基づいていて主要登場人物はいずれも実在でのけぞる内容。

本作は10年以上続いたスペイン継承戦争に対して女王の側近の女官(夫が派遣軍指揮官)の継戦派とその従姉妹が加担した講和派の対立を描いているようで実は女王のお気に入りの座=側近権力をめぐるバトルを独特の映像で見せている。

魚眼に近い超広角で時に引いて俯瞰した構図を、そして登場人物に接近しての撮影を使い、当時の蝋燭や暖炉の薄暗い明かりで女王の身辺を見せている。エマ・ストーンの演じたアビゲイルの知性は水面下で自身の立場を引き上げるのに使われ、そして従姉妹との内戦状態に陥った後の姿は実に怖い。

家庭ではないですが一つ屋根の下での「お気に入り」、取次役の女官の座を巡る争いはこれもまた戦争の一つの形だと思う。そしてその果てに何を勝ち得たのか、負けて何を思ったのか。三人それぞれの虚無があった。