いののん

女王陛下のお気に入りのいののんのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.8
開始の瞬間から好き。スクリーン1文字目から好き。美しくてうっとりしてしまう完璧な文字。お洒落で可愛くて孤高で気品にあふれてる文字。何というフォントなんだろうか。黒のスクリーンに白い文字たちが、最高に美しいレース模様のようにも見える。踊っているようにも見える。この映画は好きなヤツだ。違う、ヤツじゃない。これは好きな女の子だ。どうやら18世紀のお話らしいが、これこそ21世紀の女の子の物語じゃないかっ。


3人の女は、全部自分の責任のもとにやっている。誰のせいにもしないし、言い訳もしない。男に期待しない。わがままは言うけど、それはまあ女の子だからさ。孤独だって何だって自分で引き受ける。嫉妬も野心もあるけど、ぐじぐじしてない。すごくさっぱりしてる。多分3人とも、全てを失っちゃったとしても、わりとさっぱりしてられるんじゃないかな。そんな気がする。やるだけやったら、もうそれでいいって。根深さがない。最後レイチェルの未練のなさげさ。アン女王の可愛らしいことといったら。私もアン女王なら惚れてしまうと思う。エマがしたことをしてもいいと思えるくらいには。しただってなんだって使えるモンは使っちゃいますよ、ってねw。今までみたなかでいちばん好きなレイチェルで、いちばん好きなエマ。オリヴィア・コールマンは今日から好きになる。すんばらしい。


うさぎをむぎゅーっと。
ロブスターのレビューで、動物に生まれ変われるならうさぎがいいと書いた自分の直感力を自分で褒めたい。イエーイ。自分で自分を褒めて高笑いしていい気になって、それでウ○チ臭い沼に突き落とされるのさ。その沼で足掻きますよーだ笑


魚眼レンズ?の不思議さ、鳥の声や、いろんな不穏な音とひきずる音、時代考証してそうで多分無視してるであろう確信犯的装飾美術、ゆがんだ世界。でもこれこそが現実だとも思うのだ。アン女王が、自分では見えない民を随分気にしておられる姿も、これぞ女王!


エンドクレジット眺めながら、あのビジュアル重視な文字、全然読めない文字を眺めながら、この、わかってもらわなくっても全然構わなくってよ!わたしが書きたい文字で書いてるだけだから!っていうのも、なんだか女子なんだよなあって思った次第。いののお気に入り。
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