湯っ子

ザ・スクエア 思いやりの聖域の湯っ子のレビュー・感想・評価

3.7
スウェーデンと言えば福祉国家。それとマリメッコやムーミンや、ほっこりしつつおしゃれな北欧インテリア。そんなことしか思い浮かばない私なので、あんなにたくさんの物乞いの人たちがいて、近年の社会問題になっていることは全く知りませんでした(もう私の無知さはすっかりバレていると思うので、「恥ずかしながら」というワードを使うのはやめます)。
物乞いの人たちのほとんどが、ルーマニアかブルガリアからやってきたロマと呼ばれる少数民族なんだそうで。だから、作中で非難ゴウゴウのCMに起用された少女が金髪っていうことも、相当な皮肉なんだろうな。主人公がワンナイトする女性が飼ってるお利口なお猿(ボノボかな?)と、制御不能のモンキーマンの対比にも何か意味ありげ。居心地悪くて、何か含みがあると匂わせたエピソードが続く。
芯になっているのは、冒頭、主人公がスリにあってからのアレコレなんだけど、このエピソードがダラけているのか、思わせぶりなほかのエピソードが多すぎるのか、あまり吸引力を感じなかった。物乞いの人にこれだけフィーチャーしているのだから、何かメッセージがあったんじゃないかと思うけど、私にはよくわからなかった。
タイトル通り、「スクエア」がたくさん出てきた。スクエアの中は思いやりの聖域。じゃあ、スクエアの外はどうなの?っていう問いかけがあったりするのかな、と、これを書きながら思った。

フレンチアルプスでもそうだったけど、妻や娘に軽蔑され白い目で見られるというのは、監督のトラウマなんでしょうかね。
湯っ子

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