ダイヤモンド

ザ・スクエア 思いやりの聖域のダイヤモンドのレビュー・感想・評価

2.0
このスクエアは、信頼と思いやりの領域です。この中では誰もが平等の権利と義務を持っています。この中にいる人が困っていたら、それが誰であれ、あなたはその人の手助けをしなければなりません_。

美術館の敷地内に設置されたスクエア、四角い枠の中では困っている人に対して、助けの手を差し伸べなければならない。その作品?の宣伝広告に使った動画が物議を醸す。キューレーターであるクリスティアンに責任が及び、辞職する羽目に陥る。
ただこの映画、当のスクエアの中だけでなく、至る所に助けを求める場面が出現する。街角でかしずく物乞いなどがそうだが、みな見向きもしないで足早に立ち去ってゆく。それを観せられるわたしたち観客の方がかえって、そわそわと居心地の悪いものを感じる。

人間の言葉を発しない、筋肉隆々とした半裸の男がアートの発表会で動き回るシーン。会場には着飾った富裕層の客たちがテーブルに座って、ディナーを楽しもうとする矢先、その男が傍若無人に振る舞う。しかも男性客を挑発したり、女性客をレイプしようとしたり。その間、他の客はじっとしているだけ。誰も助けない。ところが勇気ある老父が男に挑もうとすると、ようやく他の男性客たちも立ち上がって、袋叩きにする。そのシーン観ていてやっぱり、初めから終わりまでそわそわと居心地が悪かった。

その居心地の悪さを見せることこそ、監督が意図するところではないかと、思ったりして…。

とにかく難解で、そわそわする不可思議な映画でした。