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七番目の道づれのarchのレビュー・感想・評価

七番目の道づれ(1968年製作の映画)
4.0
ロシア革命、ポルシェヴィキとブルジョワ達有産階級の対立が深まり、内戦真っ只中を舞台にブルジョワならがらも自らの襟を正し、正しくあろうとした男を描いている。

「結果が分かっていないようだな」
「私は分かっている、そちらは原因が分かっていないようだな」

後半にあるこの台詞に全てが詰まっていたように思う。アダーモフは有産階級として生きていた"過去"を常に恥じている存在として描かれていた。そしてその過去にすがろうとする行為そのものを自ら否定していく。将軍だった過去、自ら住んでいた家、古い親友。それらの彼を構築していただろうアイデンティティを全て捨て、洗濯夫になることで時代に対して責任を取ろうとしていたのだ。その姿はあまりに殊勝この上ない。そして最後には自ら戦場に立ち、命の危機に瀕し、敵軍に寝返ることも出来ただろう場面でも自らを貫いた。
ここには先程の台詞からも分かる結果と原因があると思う。白軍がいう結果とは、彼らが信じる勝利だろう。しかしアダーモフにとってその結果は妄想に過ぎず、旧態依然とした体制やそういった現実との乖離にこそ失敗があるという根本的な"原因"がある限り、結果を見えているはずだとアダーモフは思っているのだろう。
正直ロシア革命は詳しくないので憶測ばかりなのだが、善人であろうとその齢で自らを変えようとしていく姿は見習うべきものを感じた。
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