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七番目の道づれのpikaのレビュー・感想・評価

七番目の道づれ(1968年製作の映画)
4.5
ほとんどレンタル解禁されたゲルマンの作品の中で唯一入手しにくかったこれ。DMM様々。

ロシア革命の最中、非戦闘員ながらも将軍だったじいさんが赤軍に逮捕され革命の混乱の中で階級も仕事も家もまっさらになり今まで知らなかった現実を知り、自分の存在とはというものを確かめていく。
郡と個の人物を端的に描き分けながら合間に物へフォーカスする演出の緩急が良い。銃剣に紙、ピアノとシャンデリア、時計、つららなどさり気なくも印象的。
序盤30分で3度ある点呼にて呼ぶ声と表情のトーンを変える演出が面白い。繰り返しによって3度目が引き立っている。
ロシアの戦争映画ならではな雪原の戦闘シーンは圧巻。
話も叙情もわかりやすい。説明し過ぎず様々な人との会話や演技のトーンで見せていく。相手を慮る主人公の配慮に少しずつ同化させられていく。淡々と理解させていく演出が粋。泣く。信条の分断というデリケートな話に対して同じ人間としてどうなのかと大枠へズームアウトしていく流れが良い。
ゲルマンの初期作としてここからのフィルモグラフィーを考えると技術的にも中身的にも感慨深い。ソ連生まれの作家として使命とも言える確信と覚悟が滲み出ているような。素晴らしい。うぅ。余韻が凄い。ゲルマン見直そうかな。後期ヘビーだけどゲルマン全作傑作。
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