菩薩

七番目の道づれの菩薩のレビュー・感想・評価

七番目の道づれ(1968年製作の映画)
4.0
共同監督、それも年長者との作業という事もあり、随所にゲルマンらしさが…なんて事は当然無いが、それでも時折顔を出す無軌道かつぬるっとしたカメラワークに、むしろ後期ゲルマンらしさを勝手に感じてしまうし、そもそもお話自体がとても面白い。時計の針は元に戻す事は出来ない、でも自らの手で進める事は出来るし、投げ捨ててしまう事すら出来る。古き悪しき国・時代・体制を変えるには、既得権益に縋り付く旧世代の人間共を一掃するしか無いが、とは言え「長老」が持つ良識、落ち着きを失った新世代は、とかく暴走をしがちである。大切なのは批判に耳を傾け反省をし未来に活かすこと、守るべき物を守る為に柔軟な思考能力を持つ事、対話を拒み自暴自棄にならぬ事、ってこれまんま今の日本そのものだし、いつだって人間はそうやって上手に国を作っていかなきゃならない。神が作ったのは最初の人間だけで、国はその後の人間達自らで作り、変えていかねばならない。馬に人が2人乗れば疲弊し共倒れになる、ならどうすべきか、犠牲の上に人は立つ、ならどうすべきか、痛感すべき点が多々ある。人の思想がぶれる事自体は恥ずかしい事では無い、戦争と革命の只中でも結婚と死は存在し続ける、だから花は必要だ、その花をなんと見るかである。
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