Jeffrey

七番目の道づれのJeffreyのレビュー・感想・評価

七番目の道づれ(1968年製作の映画)
3.5
‪「七番目の道づれ」‬

冒頭、1918年ロシア革命直後のペトログラード。歴史のうねり、翻弄される軍の高官、革命軍、戦地、元・帝政。今、現在のサンクトペテルブルグを背景に1人の男アダモフの姿を捉える…本作は2013年に「神々のたそがれ」を遺して亡くなったロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマンが最初に撮った長編映画で、去年の夏にボックスを購入して漸く初鑑賞した。

グレゴーリ・アローノフとの共同監督作で、67年のモノクロ映画で、監督自体インタビューでこの作品に対する不満を打ち明けている様で、年長であるアローノフに従う様な形で、作品を撮った為にだそうだ。

映画は2人の監督で作るものではないとまで豪語している。そうするとダヴィアーニ兄弟やダルデンヌ兄弟は凄いと思う。

本作は8月30日に議長が暗殺された新聞を映し出し、白色テロや赤色テロへの抗議、わが国への軍の侵入を断固と拒否する声明的なナレーションで始まる。

終盤のクライマックスでの展開で雪原の銃撃戦や室内劇の対比を見ているとどちらかが監督をしていると言う事になる為、推察が面白い。少し気になるのが主人公の名前がアダモフと言う事だ。まるでアダムとイヴのアダムを連想させる。

さて、物語はロシア帝国時代の元エリートたちが、新しい国を創造しようとする赤軍に囚人として囚われる場面から始まり、かつて検事を務めていた主人公アダモフの過去に水兵を裁く裁判を拒んだ事が判明し、釈放される…と簡単に説明するとこんな感じで、主人公が人間として新しく生まれ変わろうとするまでを描いた作品である。

原作はスターリン賞を2度も受賞しているボリス・ラヴレニョーフの同名小説で、ソ連のイデオロギーに忠実な作品を多く執筆しているそうだ。因みににロシア語のタイトルは“7番目の衛星"と言う意味になるらしい。‬

‪一面銀色の世界の土地(森)で兵士たちが戦う場面は圧倒的なエキストラによる演出が迫力ある。‬

‪前編後編で別れる静寂な室内劇と激しいスペクタクルな激戦に別れているのは退屈しない配慮があってよい。秀作だ‬。
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