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七番目の道づれのumihayatoのレビュー・感想・評価

七番目の道づれ(1968年製作の映画)
5.0
ロシア革命で打ち上がった共産主義
ブルジョア層であった主人公は
家も私的財産も没収され尽くした新体制の中
唯一残った、自分の時間を刻む時計だけを抱えて、友人達を渡り歩く
新たな生活様式を見ていく中で
彼は自分が如何に社会の弱者を無視して富を築いていたかを目の当たりにし
「分け合い助け合う」という精神が生まれて戸惑うが
これは共産主義的な生活の中にある再分配の思想とは全くの別物であると僕は思う。
そして戦場で直面する
結局コレは
赤だ白だと個人を区画しているだけだと
区分け方法はその人間の生い立ちや経歴であり、その人の思想や"今現在の私"と言うものは全く無視され
従属しない者はどんな思想だとしても粛清されていく

結局、赤も白も何かに所属し異分子を排除する事でしか安心できないクズの集まりにしか過ぎなかったのでは無いだろうか。

その失敗から学べることは長き対話とコツコツとした社会制度の積み立ての必要性であるが、官僚主義体制や不十分な教育、メディアの権益構造を見るにまだまだ日本ではこの無意味なレッテル赤白対抗運動会または歌合戦を続けるであろう。

主人公の友人が言う様に
「ロビーの掃除はするが、こんな茶番劇は客席で見てた方がいい。俺に役を与えるな。」
と言う気持ちになってしまうのも無理はないのかも知れない。
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