イチロヲ

Gore in Venice(英題)のイチロヲのレビュー・感想・評価

Gore in Venice(英題)(1979年製作の映画)
5.0
夫婦殺害事件の真相究明に努める捜査官が、異常性愛を根底にした人間関係の存在を察知していく。ラウンジ系のオシャレな音楽に乗せて、セックス&バイオレンスが展開される、イタリアのジャッロ作品。

警官の捜索パートと被害者の回想パート。その両視点から、サイコ・スラッシャーとソフトコア・ポルノを適度にミックスさせた物語が紡ぎ出される。濡れ場の描写は淡白だが、ヌード女優が眩しい美肌と女体の稜線を魅せてくれる。

被害者夫婦は、SMでいうところの調教師と隷属者の関係。新刺激を欲している夫が、口ではイヤイヤと言いながらも追従してくる妻に凌辱プレイを強要する。日活ロマンポルノと重複する要素が含まれているが、日本のSM調教劇とは異なる着地点が待っている。

真犯人を絡ませたミスリード狙いが愉快痛快であり、ジャッロ特有の様式美を堪能することができる。「調教師もまた隷属者に隷属している」の法則が、負の方向へと働いてしまう。そんな、メロドラマの観点からも見応えあり。
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