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素敵なダイナマイトスキャンダルのjamのレビュー・感想・評価

3.9
スエイさんのこと

はじめてスエイさんを知ったのは、おそらく西原理恵子さんのエッセイ漫画だったと思う。
新保信長、ゲッツ板谷、そしてもちろん鴨志田穣…
一癖も二癖もある登場人物の中の一人として。
パチンコ雑誌、およびエロ雑誌の編集長、SAXプレイヤーという肩書きの割には、失礼ながらちょっと冴えないおじさん、という印象だった

改めてスエイさんに注目したのは
彼の現在の奥様である写真家の神蔵美子さんの「たまもの」を手にしてから
評論家、坪内祐三さんの妻でありながらスエイさんに惹かれていく様を辿りながら
どうしてスエイさんなんだろう?と思わずにはいられなかった



よく映画化したと思わざるを得ない、スエイさんの半生。
一見、流されゆくまま、
つかみどころのない飄々とした柄本佑を観れば、その不思議な魅力に納得
ダイナマイトで自殺した母役の尾野真知子も素晴らしいけれど、注目したのは
一緒に爆発した愛人…若葉竜也のハマり役

夜の繁華街、全裸でペンキを浴びて"アート"している若き日のスエイさんに
「頑張れよ」と声を掛ける通りすがりの人としてスエイさん本人がカメオ出演されているのはご愛嬌


この映画で描かれた熱の籠った時代を経て
「たまもの」から、その後の「たまきはる」までと続くスエイさんのいきざまを見守る
奇しくも、先日発売された坪内祐三さんの奥様が描かれた本を手にして
坪内さん側からの、スエイさんと神蔵さんを見つめながら
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