MasaichiYaguchi

ライト・オブ・マイ・ライフのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
恰も今の世界状況を予見したかのような本作では、謎の感染症のパンデミックで殆どの女性が亡くなってしまったというディストピアで父と娘のサバイバルが繰り広げられる。
感染爆発から10年後、生き残った女性を血眼になって探す男たちから娘のラグを守る為に父は息子と偽り、人目を避けながらカナダのブリティッシュコロンビア州を逃避行し続けている。
如何にもカナダらしい鬱蒼とした森が舞台として出てくるが、この親子にとって人里離れた森さえ安住の地になり得ない。
途中人心地つくような廃屋を見付けるも仮初めにしかならず、最後の寄す処として祖父母の家に向かう。
「ウィズコロナ」とか「アフターコロナ」という言葉をよく耳にするが、本当に怖いのは感染爆発によって壊れてしまった人の心だと思う。
親子は祖父母の家で出会った“先住者たち”と共生していけそうな矢先、思わぬ事態に直面していく。
本作にはキリスト教的な要素を強く感じるが、危機に直面する度に親子の絆が試され、そして娘の逞しい成長が感じられます。