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大河のうたのefnのレビュー・感想・評価

大河のうた(1956年製作の映画)
3.9
 貧困が主題の大地に対する聖なる川、ガンジス。冒頭の沐浴から雰囲気がこれまでと違う。
 主題は出世のために都会に出た子と取り残された母の別離だが、この距離を風景が強調する。カルカッタの路地を彷徨う牛と故郷の学校に押入る牛、印刷業と手仕事、そして何より都会的なアパート、塗りこまれた壁に囲まれ勉強する子と森で病に倒れ朽ち果てようとする母。これら対の風景が子を離すまいともがく母と自立しようとする子のかけ引きを見事に表象している。
 惚れ惚れするようなショットはなかったがロケーション撮影の編集に唸らされた。大地とは違う意味で深刻な一作。
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