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散り椿のmayumayuのレビュー・感想・評価

散り椿(2018年製作の映画)
4.2
原作を読んで時間が経ってから、再見してみた。

一本の映画として、上質。
8年前の汚職がらみの事件により、友を失い、藩を追われた剣豪。最愛の妻を失い、彼女の願いと約束を果たすために帰郷する。そして‥

美しい日本の四季のうつろい、それぞれに胸に抱く愛と正義のために一途に生きる人々。
妻の死と渾身の嘘のためにどこか虚無が漂っていた男が、妻と友の思いを知り変化する。
命をかける事など思いもよらなかった若者が大切な者を守るために覚醒していく様子。
8年前の真相。

そして役者選びがすごい。
悪役、ボス、腰巾着。
悪徳商人。
若くまっすぐだがまだ未熟な若殿。
切れ者だがそれぞれに秘密と傷を抱える昔の友。
道場の主人。
妻、妻の妹、若者と婚約中のうら若きお嬢さん、苛烈な母。
最初から誰がどういう人かわかるような‥顔?演技?雰囲気?そんな役者さんを選んである。
そして、岡田准一である。
もう一人だけ構えが、身のこなしが違う。足腰が違う。プロじゃないけどわかる。
殺陣や素振り、剣の手入れ。その佇まい。

美しい日本の映画。
前回は原作読んだばかりで映画だけの評価ができなかった。スコアあげました。おすすめです。
女性が支えたり、背中を見送るしかないのはそういう時代だから仕方ない。
あと、今回はすっかり原作ラストを忘れていたので‥えー、あなたも死んじゃうの?!ってなりました。
葉室麟さん、もっと沢山作品読みたかったです。惜しいなあ‥

以下、前回レビュー。

正直、原作を読んでいなければ良かったと思いました。
葉室麟さん好きだからしかたないのですが。
読んでなければきっともっと感動して見られた気がします。褒めるところいっぱいあるんです。

役者さんは原作で浮かぶイメージとぴったりな方ばかり。
映像は自然も庭も季節の移ろい、花々、非常に美しく、殺陣も演技も良かったです。

岡田准一さんは無口な武士の役がとても似合います。素人目ながら、群を抜いて剣が上手い気が。

でも、なんだか満足度が上がらないのは、
たぶん原作を読んだ自分のイメージといちいち比較してるからな気がします。けれど、もはやわからない。
柳楽優弥さん原作だともっと出番あるのに、あれだけなの勿体無い。三右衛門の死に方が納得いかない。
蜩の記も見たいのですが、同じ状況になってしまうのかしら‥
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