Tai

散り椿のTaiのレビュー・感想・評価

散り椿(2018年製作の映画)
4.2
神速の剣術に痺れました‼︎

近年の日本刀を使った時代劇もCG、早回し、ワイヤー使用と殺陣というよりはアクションという感じなものが増えてきて、伝統ある剣術の魅力が失われつつあるようで寂しく思っていました。
が!そこに真向から果たし状を叩きつけたかのような本作!
これぞ日本刀と人が作り出せる芸術‼︎
と、学生時代は剣道をやっていた私のテンションうなぎ登りです( ^ω^ )b

時代劇は史実を作品にしたものより、オリジナルの作品の方が好きなので、そこも良かったです◎
主人公・新兵衛の不器用さも好きです。
責められた時に言いたい事をグッと堪えて首をこれでもかと落としているあの仕草が、なんだか三船敏郎演じる侍を見ているようでした。
中々万人ウケしにくい恋愛観だと思いますが、人を想うという難しさが切なかったです。
次の椿が咲く時期まで待つ訳ですが、カレンダーがなくても季節の流れを感じる日本の四季も作品の美しさを演出していました。

部活動の先生とは別に私に剣道を教えてくれていた師がよく言っていたことなのですが「稽古の為の稽古をするな。常に勝負の為の動きをしなさい」と。
剣道の稽古、特に素振りで言われたのですが、ただ竹刀を上下させればいいというものでなく、あくまで相手に打ち込むため、本番のつもりで一動一動を真剣になさいという教えです。
この「散り椿」の新兵衛が振る剣はまさにそれでした。
独り素振りをしているシーンの振り・止め・残心という一連の流れはまさに対峙する相手が見えてくるかのよう。
カメラに向けられた気迫の籠った切っ先がスクリーンを超えてこちらに向けられているかのようで、鼻のあたりがムズムズっとする程でしたよ!

エンドロールの各名前がそれぞれ本人の直筆のようで、子役のつたない平仮名に血生臭いものを観た後の気持ちがホッコリしました(笑
Tai

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