ダイアー教授

イングリッド ネットストーカーの女のダイアー教授のレビュー・感想・評価

3.2
題:「いいね」をあげたい、映画
製作:2017年、アメリカ
監督:マット・スパイサー
原題:『Ingrid Goes West』
出演:オーブリー・プラザ、エリザベス・オルセン

皆様はインスタで有名人をフォローしたことがありますか?
私はあります。

本作であるが、タイトルと主人公のご面相から「サイコホラー」を勝手に想像したのだが、全く違う作品であった。

イングリッドってブスがひょんなことから小金を手に入れ、ロサンゼルスに引っ越す。
憧れのインスタグラマー、テイラー・スローン(オルセン)が住んでいるからだ。
念願叶ってテイラーとお近づきになり、彼女と行動を共にするが…
って話である。

SNSへの執着を批評的に描き、そこに主人公の人間的成長も織り込んでいる。
多層的でなかなかオモシロい映画だった。

ネタバレなきよう2つにまとめてレビューします。

1.エリザベス・オルセン
彼女、ミシェル・タナーことオルセン姉妹の妹さんだ。
よく見ると美形ではないし、スタイルもいいとは言えない…
しかし、ちょっとくずれた感じのコが人気を集めるのは世の常。アイドル集団もキャンパスも学級も、接待を伴う飲食店も同じだ!
ご多分にもれずハリウッド女優もそうだと思う。
メグ・ライアン、キャメロン・ディアスなんかその代表だろう。

オルセン嬢は演技の幅が広い。キャピキャピのギャル役も知的な女性もイケるが、憂を宿したワケあり女も演じられる。
哀しい生い立ちを持つスカーレット・ウィッチ役はドハマりであり、彼女の出世作になった。
本作ではカリスマインスタグラマーの役。
芸能界のセレブであるオルセン三姉妹の現実のメタ的役柄だと思う。

2.Go Westとは?
原題は『Ingrid Goes West』、“イングリッド西に行く”という意味だ。
主人公のイングリッドはテイラー(エリザベス・オルセン)に会いたい一心でロサンゼルスに引っ越す。
LAはアメリカの西=WESTで、“GO WEST”はヴィレッジピープルの代表曲である。
イングリッドのテイラーへの執着は、半ば「同性愛」的だとも言える。
更には、テイラーと彼女の弟との近親相姦的な関係を表しているように思える。

“Go West”には、うどん屋へ行く以外にもこんな意味があるのではないだろうか?