emily

さよなら、僕のマンハッタンのemilyのレビュー・感想・評価

4.8
大学を卒業し、親元を離れたトーマス、近所に住む中年の男に出会いアドバイスを受けるようになる。トーマスの退屈だった人生が回り始める。

抜群の色彩、配置、ガラスごしや鏡ごし、壁一枚も、光の絶妙加減でスタイリッシュに見せる。まるで写真を組み合わせたようにお洒落な画が続く。

その中で何かを見つけたい少年は葛藤の中で、ある作家のおじさんと出会うことで、成長していく。ゆっくり一歩ずつ、失敗し、ぶつかって、しかし飛び込んだ分だけ大人になっていくのだ。

そこにはいつも近所の作家のおじさんがいてくれた。心情にのせる音楽のセンスも抜群にいい。人物像が少しずつ絡み、それぞれの葛藤があり、人生の不条理もしっかりみせてくれる。それぞれの苦悩も垣間見せ、大人になることのシビアさを感じさせる。

ささいな一歩かもしれない。しかしその一歩が人生を変える。そしていつだって人は人の出会いによって、変わるきっかけを見出すのだ。なんでもない言葉の一つも誰かの何かになるかもしれない。

みずみずしく、スタイリッシュ。泥臭く愛おしい。大人たちもみな失敗し、そして成長する。見事な人物像の絡みでクライマックスには感動を与えてくれる。
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