青年が大人になるために。Love New York
『スタンドバイミー』が子供が青年になる物語だとすれば、この物語は一人の青年が大人になるためのイニシエーション。
高校生の頃に観れたら、きっと突き刺さったんだろうな。
アッパーウェストサイドに住むことが表面的な社会的大人の条件でも、主人公はそれに反発する。そういった諸々のメタファーで構成された映画。そうゆう読み解きをする分には結構楽しい。
だが、強烈な違和感があった。
それはきっと主人公の青年が大人になるという主題を描き出そうとするあまりに、世界がひどく歪んでいるからなのだろう。
この歪み方は童話に近い。
世界の多元性や恣意的な物語化の問題点を知っていれば、この物語に強烈な違和感と苛立ちを覚えるだろう。まるで世界を知らない青年の妄想のようだ。(女性蔑視も甚だしいし。)
にしても、きっと青年はこういった妄想(世界の恣意的な物語化)を通じて大人になるのかもしれない。
説教臭いのもやけに鼻につく。
まあ、ビルドゥングロマンとして乗り越えられることが前提にある映画といっていいだろうか。
S&Gがとてもよかった。
きっとかつてのNYに思い入れがある人にとっては、涙なくては観れないのだろうな。