わたふぁ

ALOYS/アロイスのわたふぁのレビュー・感想・評価

ALOYS/アロイス(2016年製作の映画)
4.3
映画を観るのが仕事だと自分のために映画を見ることが減るので、自分のために見る時はデザート的なウキウキ感を持って観る。そのために大事に取っておいた「ALOYS」を。

浮気調査探偵のアロイスは盗撮の合間にプライベートな映像も撮る。不倫する男女。アロイスの父の遺体。かわいい羊。食器棚の引き出しの上で眠る猫。不倫の男女。

ある日、浮気現場の盗撮をしていてターゲットに気づかれるという失敗を犯した。ヤケ酒してバスの中で夜を明かすと、カメラとテープ数本を盗まれていた。かろうじてバスから飛び降り帰宅。ポケットに入れられていた1本のテープには、バスの後部座席で爆睡する自分の姿が映っている。

そして謎の女からの電話。「ビデオを見たわ。あなたが尾行した人たち。お父様の死に顔。あなたの猫はマグネシウム欠乏症で死んでしまうわ。あと、ロルフもいた。」ロルフって誰だ?

テープを返して欲しかったら日本の精神科医が考案したテレフォンウォーキングをしましょう、という誘いに乗って、アロイスは電話の内容に翻弄されていく。

彼女にはアロイスが考えていることはお見通しで、行動も全てバレている。尾行していた自分が尾行されている。ミイラ取りがミイラになったというのか。

でもカメラやビデオテープはすぐに無事に戻ってきた。猫のサプリメントも同封されて。電話で彼女は別れを告げて、その後電話はパタリと止んだ。

しかしその後に起きたこととは、、。

音と匂いと想像力。あとは励ましの気持ち。そしてささやかなジョーク。静かで優しい感触のする映画だった。
現実と妄想が混じり合い、結局のところどこからどこまでが現実で起きたことなのかわからないけど、そんなのどうだっていいし、ハッピーエンドだと思しきエンドだったので思い残すことはない。
幸せになろう。