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海の王ネプチューンのdm10foreverのレビュー・感想・評価

海の王ネプチューン(1932年製作の映画)
3.6
【海の西部劇】

たまたまYoutubeで見つけたディズニーの短編アニメ。
ちょこっとセリフ(英語)もあるにはあるけど、そこまで難解でもないので何となく聞き取れるレベルだし、仮に聞き取れなくても内容は十分理解できるので問題ないです。

これも先日観た「サンタのオモチャ工房」に通じる部分があって、基本的に「ネプチューン」を中心に回る海の世界が楽しげに描かれるんだけど、とにかくそのネプチューン王は気さくなオジサンって感じで「わっはっはぁ」ってひたすら笑っている。
すると不思議とその周りにいる海の生き物たちも皆幸せそうに生き生きと泳ぎだす。

そうね~。
会社とかでも、上司がしかめっ面ばかりしていて部下から煙たがられているようなところって、働いてても楽しくないもんね~。
かといって上司がいつもヘラヘラしていても部下はついてこないし・・・。
ホント大変なんすよ、中途半端な役職って(遠い目)。

ある時、岩場で人魚たちがくつろいでいると、その様子を見つけた海賊たちが人魚を捕まえようと迫ってきます。
人魚たちの悲鳴を聞いた海の仲間たちは海賊たちに戦いを挑みますが、海賊たちもこれに応戦して打ち合いとなってしまう。
捕らえられた人魚の運命は!?

そこに海底から現れるネプチューン!

なんと、高笑いしながらいとも簡単に海賊船をブッ飛ばしてしまいます。
Oh~ポカホンタ~ス!いやネプチューン!
そして海には平和が戻った・・・。

因みに、これが作られたのは1932年。

海賊船と戦う海の仲間たちは、鯨を空母に見立ててそこから魚たちが飛び立って爆撃機のように海賊船に凶暴なロブスターを雨あられのように落としまくる。
大ダコは自らの足をプロペラにのようにグルグルと回転させながら浮上し、海賊船に砲弾を落としまくる。

・・・どこか戦争における海洋戦を想起させるような絵でありながらも「悪い海賊を退治する」という勧善懲悪な方向性のせいで、そこに他意や悪意をあまり感じないように仕向けられているのかもしれない。

「悪いやつらは退治される」

そして奇しくも1941年に日本が真珠湾攻撃を仕掛けると、まさにこの作品のように「戦いの大儀」も出来上がっていき、アメリカも世界大戦に本格参戦していく・・・

第二次世界大戦時にはアメリカでも多くのプロパガンダ作品が作られていたけど、意外にもディズニーがもっとも多くのプロパガンダ作品を作っていたという。
でも、子供たちはそんな「大人の意図」なんてわからないもんね。

「さりげなく・・・・」とは言え、こういうところでも「戦意高揚」は行われていたっていう典型例なのかもしれないな・・・とちょっと怖く感じたりもした。
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