JohnDoe

バグダッド・カフェ 完全版のJohnDoeのレビュー・感想・評価

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雰囲気映画。ノスタルジックでシュールでハートフルでメランコリックな感じ。

まずはカメラワークとかアングルが独特で、漫画みたいなカットやアメリを思わせるような斬新なアップがあったりした。
音楽も存在感が強かった。Calling Youとかブレンダの息子のピアノがこれでもかってぐらい流れた。印象的で雰囲気を作ってた。

ジャスミンとブレンダはお互い旦那と喧嘩別れした直後に出会う。ブレンダはずっと怒鳴ってておっかない感じ。ジャスミンは英語が母語じゃないこともあってか口数少なめでおっとり。共通点もありながら対照的に描かれる二人はもちろん、反りが合わない。(というかブレンダが懐疑的でジャスミンに食ってかかる。)でもジャスミンの温かさに触れたりしてブレンダは徐々に警戒を解いていく。
余所者で怪しい奴だったジャスミンが、カフェの人々と交流を深めていくうちに「お客様」になり、やがてみんなに愛されて「家族」になる。大感動作とかではないけどほっこりした。

"Too much harmony"の件とか、ジャスミンとブレンダの夫の描かれ方の違いとか、ハッピーエンディングに隠れたこの多面性も良いなと思った。十人十色って話だけじゃなくて、一人の人間の感情も単純ではないってことを思い出した。

音楽とか画面の色とかに独特の雰囲気があって、登場人物がとにかく個性豊かで、ド派手な展開はないけどちょこっと心があったまる感じがして、、所々にシュールなユーモアもあって、、ウェスアンダーソンを観ているような感覚になった。


王道ではないけどどこか心惹かれる作品だった。中2とかで出会っていたら拗らせそうというか、、映画の趣味が今とは大幅に変わっていたかもしれない。たぶん映画監督志したりしたかも。そんな独特の雰囲気に満ちた映画だった。
JohnDoe

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