ロラン

無限のロランのレビュー・感想・評価

無限(1992年製作の映画)
5.0
老境に差し掛かった主人公が自身の家を空にして人生を整理する。外に出ると自身の過去が現れるという映画。主人公の過去と、ソ連崩壊後の90年代ロシアという現在を見つめる眼差しの優しさが混在して、3時間半ずっと感動する。映像も3時間半ひたすら美しい。こんな映画は他に『ベニスに死す』くらいしか知らない。映画史において、ゴダールよりも孤独で孤高の映画だと思う。

タルコフスキーの『惑星ソラリス』でも使われていたバッハのコーラルが映画の始まりと終わりに流れて、幕開けはカーテンが揺らめく中、主人公の家の侘しさを感じるけど、主人公が過去の自分と並んで歩くラストにはもうその孤独はない。
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