ばし

ラッカは静かに虐殺されているのばしのレビュー・感想・評価

4.2
これは久々の良作ドキュメンタリー!アマプラの評価はマジ当てにならないと思わせられる作品!

アサド政権崩壊からISIS誕生、イスラム国の独裁政権確立、国際的テロ国になるまでとその理由、思想が端的に描かれると共に、ISISによって故郷ラッカを占拠されてしまった民間人からなる反体制勢力"ラッカは静かに虐殺されている"(RBSS)の活動記録をスムースなバランスで見せ、サスペンスフルな展開をしていく現実に、ニュースで薄く知っている自分には現場の惨状は衝撃だった

文字通り「死んだ目」になる瞬間を捉えていたり、あっさりと亡くなる人、死の近さはすごくショッキングで同時代に今でも起こっていると考えると恐ろしくなる

また、英雄化していくメンバーが終盤、一人家の中で見せる恐怖はこちら側にも十二分に伝わってくる不安定さで、この人も他の人同様決して英雄になるべくしてなった人ではないんだな、と思わせるし、終盤だからこそそのシーンがズシッとくる

闘争としても直接的な戦闘だけでなく「メディア戦争」という現代戦をしていたのを知ったのも驚きだった
世界中にISISが波及したのはこの力のせいだったのか、と思った

さらにドイツなどのヨーロッパで起こった移民排斥運動も本筋に絡んでくるとやるせなさで胸がいっぱいになった

シリア内戦にここまで肉薄し、かつ活動家の側で記録し続けてきた監督はカルテルランドに続いてホントにすごいなと思ったし、映画的な瞬間が何度もあるから事実は小説より奇なりというか納めたのもすごいなと感動を覚えた

このドキュメンタリー自体にも相当の価値が生まれた、思ってた以上の作品だった
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