鷺宮テラス

赤い雪 Red Snowの鷺宮テラスのネタバレレビュー・内容・結末

赤い雪 Red Snow(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

花は虫や風が訪れてようやく命が宿り樹々は鳥たちが啄み種を運んでもらうように私たち地球上の生命は欠如を抱いている。"隙間"を持っている。


記憶も一人だけの"それ"にはさしたる意味はないと思っている。自分とは異なる記録媒体を持つ他者と共有し補完し合うことで満たされていくのだ。家族や友人や同僚や隣人そして恋人と。それはやがて同じ"景色"となって共に感じることができるって素敵なことであるし幸せだ。果てには距離や時間を越えられると僕の中にたしかにあるんだ。ここからは本作とは関係ないけれど人は死んだって記憶の一部だけは物質世界のどこかに宙ぶらりんになるとさえ思っている。自分とはまた別の新しい生命が"それ"を拾うまで。


本作は"それ"が事件の関係者同士で行われる。30年の時を経て狂気を帯びて交錯する。いなくなった弟の在処を探しに。これは先に書いた僕が心の中に持っている"聖なる"ものとはまったく別のものだ。


この監督は"その人の闇の本質"を映し出す力を持っていると思った。


佐藤浩市さんはあれこそ真の姿だと確信してしまうほどに。
夏川結衣さんの笑みはかつて恋人にしたであろうとおもえるほどに。
井浦新さんの他人とのパーソナルスペースは現実も3メートルだろうと!
永瀬正敏さん、貴方はどれだけ長い月日待つのが得意なのー!とw
菜葉菜さん、これは監督の分身だろうと!あんなこんな....ここから先は言えない。


雪上で激しくこれまでの人生を、欲望を、記憶を!埋め合わせるのだ。景色が同化する!!


狂おしいほどドス黒い真実の愛の物語。


"私"が大事にしている"言葉"なのでここには書けないけれど、思い焦がれている必ずそうなると信じてる現象のイメージを監督も持っていてその一端をラストシーンに乗せてくれた。信じられない。ハッピーエンドだと受け取ったよ。

余談になるけれども、
毎年マレナの元へ帰ってくるクレペタン。ちょう好き。男の理想。


あ、眠くない時にね。
鷺宮テラス

鷺宮テラス