keith中村

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のkeith中村のレビュー・感想・評価

5.0
 「パイラ星人、スーサイド・スクワッドに現わる!」
 
 これ、2016年版とどう折り合いをつけてるんだろ。
 あっちを「なかったこと」にするのかな。
 でも、ヴァイオラ・デイヴィスが同じアマンダ役で出てるんだよなあ。
 まあ、いいや。「ヴァイオラ・デイヴィスの出る映画にハズレなし」伝説上の唯一の例外だった前作を、上書きしてくれた傑作だもの!(出番は全然ないし、憎まれ役だけど)
 
 邦題はガチャガチャしてるけど、原題は「THE SUICIDE SQUAD」。前作が「SUICIDE SQUAD」なんで、「THE」の有無だけというややこしさ。ただ、この「THE」は「これこそが」というニュアンスなんでしょうね。だから、発音も「ザ」じゃなく、「ジー」とすべきなのかもしれません。
 
 いやしかし、びっくりしたのはパイラ星人の登場。
 本作ではスターロって名前でしたけど、一つ目ヒトデの宇宙人ね。
 大映の「宇宙人東京に現わる」ですよ!
(スターロで思い出したけど、本作にはスタローン兄貴も登場します)

 こんなくだらない造形のクリーチャーを登場させて、セリフでも「Weird Kaiju」って言ってくれるんだもの。最高です。
 あ、いちおう説明しておくと、「一つ目ヒトデ」は1956年の大映作品「宇宙人東京に現わる」がオリジナルです。
 DCコミックスでは「スターロ」という名前で、初出は1960年。
 ね。どう考えてもパクってますよね。
 「宇宙人~」は海外でも公開されてるし、キューブリックだって「2001年~」を撮る前に参考にした作品のひとつなんだから。
(東宝特撮はもともとアメリカ公開を見据えてタイアップしたものが少なくないけど、大映作品だって立派に輸出されてた。なんとも誇らしい時代です)
 
 さて、本作は監督がジェームス・ガン。
 ジョス・ウィードンに次いで、「マーヴェルとDC両方監督した人」になりましたね。
 ジェームス・ガン、頼りになるわ~。ハーレイちゃんピン作品の「Birds Of Prey」も最高だったけど(これはガンさんじゃないけどね)、「決死部隊」をきっちりやり直してくれた。
 まあ、本作はハーレイちゃんの出番が少ないので、「マーゴット鑑賞用映画」というよりは「チームもの堪能映画」でしたが。
(ジェームズ・ガンの代表作の主人公は「スターロ」ならぬ「スターロード」。あっ! あっちもスタローン出てる! もう、何が何だか!)

 あと、本作は字幕の訳がよかったですね。アンゼたかしさんでした。
 この人、「ジョーカー」もやってる。
 序盤の「TDK」をめぐる、オフビートなやり取りもよかったし、"The Detachable Kid?!"の訳が「"取"りはずしが"で"きる"子“?!」とちゃんと100パーセントそのままに訳してたところは語感の面白さもいいし、上手いなあ。
 まあ、こっちのチームは瞬殺なんだけれど。
 この瞬殺チームにいた「ブーメラン」は「Birds Of Prey」でゴッサムシティ警察の壁に指名手配写真がありましたね。
 
 あ、そうそう。イタチ(Weezle)、ヤバかったな。本作でいちばん怖い。
 なぜだか、プーさんのヒイタチ(Woozle)をずっと連想してました。
 エンドロール終わったあと、無駄に出てくるし。
 よく、「エンドクロールの後にもまだありますから、席を立たないで」って言われる映画があるけど、本作はそこで忘れかけた「ウーズル」が出てきたから、ちょっとトラウマなったわさ!
 キャラのデザイン、めっちゃ怖いです(涙)
 もう、「シン・ゴジラ」の蒲田くんレベル。眼が、ね。
 
 キャラデザと言えば、「スターロ」aka「パイラ星人」のデザインは岡本太郎ですよ!
 DCもまさかこんな有名な人の作品と知らずにパクったんだろうな。
 ま、それでも本作は、岡本太郎キャラが「芸術は爆発だ!」とばかりに大暴れしてくれたので大満足でした。
 あのね、ハリウッド業界さん。こっそり教えましょうか。おなじ岡本作品で大暴れしてほしいキャラとしてはですね。
 大阪の千里丘に結構な大物があるんですわ! あれ、KAIJU映画にしてみませんか?!