TaiRa

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のTaiRaのレビュー・感想・評価

5.0
やっぱジェームズ・ガンはディズニーなんかと仕事してちゃもったいないよ。

「ジェームズ・ガンの超大作」が観れたのは、ホントの意味で今回が初かと。今思えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はテイスト残しつつもあくまで余所行きの仕事だったし、『〜Vol.2』なんかは甘々過ぎてガッカリした。人がゴミのように死ぬ映画を嬉々として撮れる数少ない作家に、伸び伸びと仕事が出来る環境を与えたDC/ワーナーは偉大。MCUに食傷気味な今、DCは賢明なアプローチを見付けたと思うので今後も期待したい。自殺部隊と銘打っておきながら全然人が死なないエアー版『スーサイド・スクワッド』のヌルさと、彼の特性である北関東ヤンキーイズム色濃い「俺ら家族」感が払拭され、今回は任務の為に寄せ集められた悪党たちのドライな関係性が保たれていて良い。その上で個々人の間には特別な関係性が築かれ、エモーショナルなドラマを作り出す。これがあくまで個々人なのがいい。最後まで薄い繋がりのメンバーもいるし、人によっては誰がその場にいるかも把握していない。ガンの持つエモさとシニカルさが程よく保たれる。露悪的なゴア描写と、誰もが掛け替えのない存在だと言いのけるヒューマニズムが同居出来るのも素晴らしい。悪役が主人公というコンセプトにも向き合っている結果、今作においては敵役にも人間性が担保される。陳腐な悪役にしかなりそうもない大統領や将軍にも一瞬の間、彼らの人生を感じさせる描写を入れ込む。何と言っても宇宙怪獣スターロにまで悲哀を感じさせるのが最高。怪獣には哀しさが必須だとガンは知っている。脛に傷持つ一介の人間(または人外)がヒーローとして走り出す瞬間の感動を捉えた特別な作品。DC映画としては『バットマン リターンズ』級に好き。
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