るるびっち

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のるるびっちのレビュー・感想・評価

3.9
イカれた連中相手に、演出もイカれてて中々面白かった。
しかしハーレイ・クインの扱いは、難しいなと実感した。
彼女の特徴は狂人であることだ。
だがスクワッドもイカれ集団なので、イカれた者の中にイカれた者を混ぜてもあまり際立たない。
ハーレイを活かすには単独行動させるか、まともな連中の中に入れるしかない。
前半、ハーレイを単独行動させたのは正解である。
だから後半、メンバーと合流すると彼女は目立たなくなる。
ストーリーを動かす中心ではない。
ピースメーカーの暴走や、リーダーとネズミ使いの娘で話が纏まる。

前半でハーレイが大統領に対して、トンデモなことをする。
彼女が狂人である証明である。
スクワッド連中も、人質救出に出向いたキャンプで似たようなことをする。
彼らは間抜けなだけだが、ハーレイの方は理由が理不尽?だ。
だからハーレイの方が狂人度は勝っているようだが、結果的には同じようなことをしている。
つまりイカれっぷりを映画的に示す表現というのは、案外選択肢が少ないのだ。この辺は作り手も苦労していると思う。

イカれ具合をキャラにより微妙に変えている。
・容姿がイカれているサメ男。
・平和に固執するあまり残虐になるピースメーカー。
・イカれているというより、社会の落ちこぼれ的なネズミ使いの娘。
・シュールな水玉男。
そしてリーダーはまとも。まともな人間が居ないと狂人が活きない。
漫才でも、ツッコミがあるからボケが活きる。
ダブルボケでは、シュールな笑いになってしまう。
全員がボケ(狂人)では、シュールなだけになってしまうのだ。
誰かがリアクションというツッコミをしないと。
だからこそハーレイのボケを生かすには、ボケ集団に入れてはいけない。薄まるだけだ。実際後半は、名前を覚えられないという小ボケしか彼女は発していない。

そもそもハーレイはトリックスターだ。
彼女の行動が、予期せぬ展開を生むのが理想だろう。
前半の大統領に対しての仕打ちはトリックスターとして、状況を変えるから面目躍如だろう。
しかし、後半のトリックスターはピースメーカーである。
平和に固執することが邪悪を生むという矛盾。
同時に、大国の不正義を体現している。
ここはテーマにも絡むので迫力がある。
ここを担ったジョン・シナはさすがだが、ハーレイにこの役を担える程のキャラクターの幅がないのが残念だ。
結局、メンバーの周囲でフワちゃんのようにチャラついているだけだ。
彼女の役割は、前半で終了しているのである。
主人公はリーダーだし、深みを与えているのはネズミ使いの娘だ。
最後にハーレイも槍で一応活躍したが・・・
ネズミの大群を出したのは、監督をクビにしたディズニーへの嫌がらせなのだろうか。不潔なミッキーの大群・・・
「ドブネズミみたいに美しくなり〜たい♪」
あれ泣くところなの? 爆笑しちゃたけどww
るるびっち

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